300年企業「みょうばん湯の里」

歴史パネルの数々が並らんでいる
300年を解説する飯倉里美社長

 今年、創業300年を迎えた別府市明礬温泉の「みょうばん湯の里」(飯倉里美社長)は11日から16日まで、歴史パネル展「別府の湯の花文化を、その先へ」を大分銀行宗麟館2階(大分市東大道)で開催している。
 享保10(1725)年に、ご先祖の脇屋儀助がミョウバン製造を開始したのが始まり。享保10年といえば江戸幕府8代将軍徳川吉宗の時代で、別府で300年続く企業は同社だけ。会場にはパネル10点のほか、脇屋家に残る別府市指定有形文化財の古文書「明礬山初り覚」(1749年)や、大正時代の絵葉書から複写した写真20点、湯の花製造の道具などが展示されている。
 また、飯倉社長の父親である故脇屋長可元別府市長が、別府国際観光会館で開かれたチャリティーショーに、俳優の渥美清がサプライズで出演したときのツーショット写真も会場の片隅に飾られている。
 さらに徳川吉宗が主人公の痛快時代劇「暴れん坊将軍」のロケで、吉宗役の松平健が明礬湯の花小屋を訪れた際のDVDも展示している。
 このほか湯の花を配合した石けん、シャンプー、ハンドクリームなどコスメの販売も行われている。
 古来、ミョウバンは薬用として止血剤や皮膚の消毒に用いられたほか、染料を反物に定着させる媒染剤、皮革のなめしにも利用されてきた。
 明治17年ごろには海外のミョウバンに押され豊後ミョウバンの製造が衰退したため、ミョウバンの製造過程でできた入浴剤「湯の花」の製造・販売に切り替えていく。
 昭和52年に13代目が「脇屋商会」を設立。14代目の脇屋長可氏が昭和62年に「明礬湯の里」をオープン。湯の花の小売をはじめ露天風呂や土産・和雑貨販売、レストランなどへと事業拡大していった。平成18年から現在の飯倉社長が脇屋家16代目当主として跡を継ぎ、平成23年に脇屋商会から「みょうばん湯の里」に社名変更し、現在に至る。
 飯倉社長は「豊富な湯けむりと温泉資源の恩恵を受けながら家業を続けてこれたのも、お客さま、地域の皆さま、弊社に関わるすべての皆さまのおかげと心から感謝します。300年の歴史を知ってもらうことが祖先はじめ亡き父、母のささやかな供養になるのでは」と話している。
 みょうばん湯の里は創業300年記念イベント第2弾「おおいた老舗マルシェ&老舗企業当主対談」を11月29日午前11時から、同所で開催する。県内の創業100年を越す老舗企業が「わが社のいいもの」を販売・紹介する一日限定のマルシェ。
 お酒の試飲・販売や飲食も提供する。午後2時からは老舗企業の当主対談も行われる。