黒木記念病院3Dプリンター導入

法人利用者を対象に
3Dプリンターで自助具づくり

 特定医療法人社団春日会・黒木記念病院(黒木健次理事長)のリハビリテーション部では、今年4月から法人利用者を対象に3Dプリンターを用いた自助具づくりを医療機関として県内でいち早く取り入れた。
 自助具は、日常生活をより行いやすくするために工夫された道具。病気などで半身まひになったり、手に力が入りにくかったり、体を伸ばしにくかったりすることで日常生活に不便を感じている人が道具の力をかりることで生活しやすくなる。例えば、スプーンに太い柄をつけることで握りやすくなったり、まな板での転がり防止、ペットボトルキャップを開けたり、トイレのレバーに長い柄のついた道具を設置することで使いやすくしたりといった道具がある。
 これまでも、市販のものを使って自助具を作ったりはしていたが、使う人によってグリップの太さや道具の長さなど、細かい部分まで要望に応えることが難しいことがあったという。作業療法士の平岡淳也さん(47)は、研修で3Dプリンターによる自助具づくりを知り、病院内で導入の意義を訴えた。現在は、チームを組んで実施し、平岡さんがリーダーを務めている。
 パソコンでオリジナルの形を作ったり、プリンターのインクにあたるフィラメントを変えることで固さを変えたりと試行錯誤を続けている。患者さんの話を聞きながら、細かい要望にも応えることができるようになり、機能回復訓練も合わせて行っている。また、作ったものを市販のものを利用してさらに使いやすくする工夫も。自助具を使うことで、自立した生活ができるようになって退院することが出来た人もいるという。入院中の人にも道具を紹介し、使ってもらうことも推進している。リハビリの部屋には自由に体験できるスペースもある。多くのものが100円の制作費で作れるという。
 使った人からは「慣れてくると便利に使えるようになった。使いやすいように要望も聞いてもらえて、ありがたかった」「とても重宝している」などと好評。使いやすさに複数個購入する人も。
 平岡さんは「一人ひとりに合わせたものが作れるのが3Dプリンターの良いところですが、全国的にも医療機関で使われているのは4・4%だと聞いています。法人内の通所や外来でも利用してもらえればと思う。学会で取り組みを発表するなどして、普及啓発にも努めていきたい」と話した。