温泉と食などで心身の状態改善

昨年11月に北浜で行われたワーケーションプログラムで
ハーブテントサウナを体験するビッグローブの社員

 一般社団法人別府市産業連携・協働プラットフォームBーbizLINK(理事長・阿南寿和副市長)とビッグローブ株式会社(有泉健社長、東京都)は昨年11月から今年1月にかけて実施した、福利厚生型ワーケーションのトライアルプログラムの結果を発表した。観光庁の「新たな旅のスタイル促進事業」のモデル事業で、一般財団法人日本健康開発財団(石田心理事長、東京都)がヘルスチェックなどを行った。
 単なるリモートワークの延長ではなく、温泉ならではの入浴法の実践や、免疫力を体内外から高めることを医学的な効果で調査し、社員の健康増進や健康に対する新たな気づきを生み出すのが目的。
 プログラムは11月8~11日に北浜で、同30日~12月3日に鉄輪、今年1月11~14日に明礬で実施。ビッグローブの社員17人が参加した。ストレスや自律神経バランス、末梢血液循環、血圧などを測定し、前後の変化を調べた。
 別府ならではのワーケーションプログラムとして、北浜ではホテル内でのハーブテントサウナや温浴からの動く瞑想(眠れるヨガ)。鉄輪では、温泉カウンセリング、入浴指導、地獄蒸し大豆を使った手前味噌づくりワークショップ。明礬では、ヨガ、扇山トレッキングなどを行い、運動や体のことを考えた食事、癒しの活動などを行い、温泉を中心に、リラックスできる時間を提供した。
 結果、一過性ではあるものの、温泉入浴で末梢血液循環が改善し、血管年齢が1・8歳若返り、血管が老化するスピードの年間老化速度が約2割改善された。消化器症状評価(GSRS=15項目の問診票から症状を得点化)では、消化器にかかわる痛み、消化不良、便秘、下痢などが改善。食物繊維や発酵食品などに配慮した食事プログラムが腸内環境に良い影響を及ぼしたものとみられる。
 温泉、運動プログラムによる健康面、メンタル面では、医学・心理学の分野で世界的に使われている気分感情調査POMSでの結果、ネガティブな感情・気分である混乱、疲労感、抑うつなどが低減し、ポジティブな感情・気分である活力、有効的気分の改善が見られるなど、メンタル面でも良い結果が出た。
 サンプル数から、個々のプログラム比較は困難だが、「温」「動」「休」「食」はいずれも免疫と強く関連がある。短期滞在では、長期間の効果持続は期待できないが、体感したことの心地よさや、日常でも使える素材の提供を通じて、持続的な健康状態の獲得を狙いとしている。
 一過性とはいえ、今回のワーケーションプログラムの結果から、滞在中のリラックスした状態で、仕事の効率化、パフォーマンスの向上が見られたため、ビービズでは「今後の他企業でのワーケーションの選択肢の1つになれれば」としている。