フェリー「くれない」復活

関係者がテープカットを行い、新ターミナルが開所
バルコニーがついた部屋など多彩なタイプの部屋で船旅を楽しめる

 株式会社フェリーさんふらわあ(赤坂光次郎代表取締役社長、大分市)は、別府国際観光港内に新ターミナルを開所。12日午前9時、開所式と13日から運航を開始する別府ー大阪の新造船「さんふらわあ くれない」の内覧会を行った。
 1912年に阪神・別府航路開設し、初代の「紅丸」が就航。3代目の「くれない丸」は、「瀬戸内海の女王」の愛称で親しまれた。1980年に引退をしたが、大阪ー別府航路の就航110年を迎え、「くれない」が復活した。同航路では、25年ぶりの新造船となる。
 現在運航している「あいぼり」と「こばると」と比べ、総トン数が約2倍の1万7114トン、全長は199・9㍍で、瀬戸内海を夜間に航行する船舶では最大の大型船となる。
 また、国内で初めてのLNG燃料フェリー。従来の燃料よりも、硫黄酸化物排出量はほぼゼロになり、窒素酸化物は約80%削減、二酸化炭素排出量は約25%削減される。2020年7月に国土交通省認証の「内航船省エネルギー格付け制度」において、優れた環境性能が評価され、最高評価の星5つを取得した。
 船内に入ると、3層吹き抜けのアトリウムが広がり、プロジェクションマッピングを投影し、別府の伝統工芸である竹細工をイメージした意匠、各種アート作品など、船旅を楽しめるこだわりが満載。スイート、デラックス、スーペリア、プライベートといった幅広い等級の部屋を準備。長距離フェリーでは初めて、和室と洋室が組み合わさったコネクティングルームも設置した。さらに、同型の「むらさき」も4月から運航を開始する。
 新ターミナルは、別府国際観光港の再編までの仮設ターミナルだが、障がいのある当事者らと連携して、バリアフリーやイスラム教の人がお祈りが出来るスペースなどを設置するなど、多様な人の利便性を考慮した作りとなっている。
 式典では、赤坂社長が「新ターミナルは、日本財団の基金を活用し、自立支援センターおおいたなどの協力でバリアフリー施設の実現を目指しました。くれないは48隻目として、別府航路に戻ってきました」とあいさつ。来賓の広瀬勝貞大分県知事が「別府交流の礎を築いた、誰もが知る大切な航路。多くの人が大阪ー別府を行き来し、双方が一層強く結ばれることを大いに期待しています」。地元の長野恭紘別府市長も祝辞を述べた。
 関係者がテープカットを行い、船内が披露された。13日に大阪を出発し、14日朝に別府に到着する便で運航をスタートする。