市立図書館で「別府名誉市民展」

各分野で活躍した別府名誉市民3氏の関連資料などを展示中

 別府市教育委員会は1日から、市立図書館で「名誉市民展」を開催中。昨年から実施してきた開館100周年記念事業の最後を締めくくる展示。
 別府市の名誉市民は、荒金啓治氏(元別府市長)、稲尾和久氏(元プロ野球選手)、佐藤文生氏(元郵政大臣)の3氏。
 荒金氏は、明治30年、別府市生まれ。昭和15年に市議となり、22年に県議を経て、30年から5期20年にわたって市長を務めた。別府地域利水事業として、大分川から取水拡張事業を行い、安定した上水道を確保。31年には、日本初の屋内温泉プールをオープンするなど、活躍した。
 稲尾氏は、昭和12年に別府市で生まれた。県立別府緑丘高校を卒業し、西鉄ライオンズに入団。いきなり21勝を挙げて、防御率1位のタイトルを獲得し、新人王に。西鉄の日本一に大きく貢献した。中でも、33年の巨人との日本シリーズでは3連敗のあと、稲尾氏が4連投して奇跡の大逆転勝利の立役者となるなど活躍。平成19年完成の別府市民球場にも携わり、通称「稲尾球場」として親しまれると共に、記念館も併設された。
 佐藤氏は、大正8年、別府市生まれ。昭和26年に大分県議に初当選。県温泉熱利用農業研究所の誘致・建設に尽力した。37年から39年にかけて、政府と折衝を重ねて、別府駅の高架化の実現に貢献。42年に衆議院議員に初当選。郵政大臣などを務めた。運輸政務次官当時には、アラブゲリラによる日本航空ハイジャック事件で、日本政府代表として人質解放の交渉にあたり、乗客全員の無事救出を実現させた。当時、一緒にバグダッドで邦人解放交渉に取り組んだ、小池百合子東京都知事が「佐藤文生先生は真のヒーローでした」とメッセージを寄せている。イラク訪問時、今日新聞社より特派記者を同行させた。また、日本の選挙運動に関する博士論文を研究するため、佐藤氏の自宅で1年間共に暮らしたジェラルド・カーティス・コロンビア大学名誉教授も思いを綴った。
 図書館入口前には、荒金氏の孫である荒金大琳別府市美術協会長が看板を揮毫。閲覧室の展示スペースには、著書や当時の新聞記事、本人が描いた絵や書、獲得したトロフィー、活動の様子を紹介する写真など、遺族などの関係者から協力してもらい、飾っている。同じ昭和にそれぞれの分野で活躍した3氏だが、稲尾氏のパレードの記事の回覧の中に荒金市長の印鑑が押されていたり、荒金氏の長男が佐藤氏の妹と結婚していたりと、交わりながら別府の礎をつくってきたことを感じることが出来る。多くの展示物があるため、3月18日までの期間、レイアウトや展示物の入れ替えを行う予定。
 檜垣伸晶館長は「一昨年、佐藤さんの息子さんから蔵書の寄贈をいただいたことがきっかけで、今回の企画をしました。図書館は100年の中で、地域や人に育てられてきた。名誉市民を偲び、讃える中で次の100年を支える人づくりの機運になればと思います。是非、見に来てほしい」と話した。