別府東ロータリークラブ(笠木隆弘会長)は24日の例会で寺岡悌二別府市教育長をゲストに招き、「別府市の教育の現状と今後の展望」について卓話を受けた。笠木別府東RC会長は長年にわたり、市P連活動の経験があり、学校教育現場の環境改善に情熱を注いだ。市P連会長時代、寺岡教育長は親身になってPTA活動の充実支援を重ねた。笠木会長の要請で実現した。冒頭、寺岡教育長は別府市の現状や、課題について次のように語った。
本市は少子化や育児困難、経済不安の波を受け、家庭における基本的な育成機能の低下を招いている。教育現場でも同じような状況にある。不登校や学校から離れるという現象は150人の児童生徒に表われている。大分市では千人を越しているという。フリースクールなどの対応を充実させた。不登校の原因のひとつは「ゲーム」。深夜に及び、朝起床が出来ない。昼夜が逆転している。当市はIPADを配布してICT学習の充実を図っているが、これが「ゲーム」利用を助長するという面も出て来た。全国共通の学力テストでは幸い平均を上回っている。反面学校格差もある。教員の資質によって左右される面がある。教員のモチベーションを向上させている。また教育熱心のあまり、教育方針を強力に主張する家庭がある。この「熱心」な要望によって新卒教諭が2人、退職する事となった。誠に残念だ。と、憂慮すべき現状を解説。この打開策として次のように教育委員会の「意欲」を語った。
教育は学校、家庭さらに地域ぐるみで共有するようになった。荒れた学校現場を立て直した。落ちつきのある、子ども達を共有の財産とするような学習素材を意欲的に取り上げている。英語は幼少の頃からの必須科目となった。小1から4年まで外国語活動として素地を作り、5、6年生で科目として取り上げた。ALTの外国人講師6人を招き、実生活で使う言語学習としている。また、郷土を愛する人材形成が最も重要。「別府学」を設け、ふる里を誇りに思い、豊かな情操をきずき上げる、学年によって研究課題を細かく取り上げている。コロナによって閉鎖された期間の学習レベルを取り返すため、IPADを積極的に取り入れた在宅学習の充実も目指している。この他、当市では九州でも誇るべき給食センターを開設。衛生管理はもちろん給食担当職員の職場環境の向上という見地からも各地で注目を集めている。また図書館の新設は落ちつきある人材形成に不可欠な存在。幸い、長野市長の積極的な方針によって給食センター同様、九州に先がけた施設が誕生する。学習課題の提起やその解決等、学習環境の改善方針を一通りのべたあと、教育者としてのあるべき姿についても触れた。
▽一人ひとりの個性を生かし、社会に適応する力を育む▽子どもをほめて伸ばす▽「上善は水の如し」▽教師への戒めとして、旧態依然の教育方法では対処できない。教師は自ら学ぶ姿勢をもって専門職としての自覚をもち、協調性を築くべきだと、寺岡教育長。終始おだやかな口調ながら、一歩踏み込んだ見解や分析は「警鐘」にも似た響きを残して、卓話の幕を閉じた。