子どもの権利についても学習

南立石小学校でヤングケアラーについて知る
学習会のあと、アンケートに答える子どもたち

 別府市は、公立の小学4年生から中学3年生を対象に、ヤングケアラーについて考えるきっかけにしてもらおうと、学習会とアンケート調査を始めた。5月1日現在で、公立小学校の4~6年生は2446人、中学生は2524人。
 ヤングケアラーとは、18歳未満の若者が本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行い、自分の学習の時間や部活への参加、友達と遊ぶ時間、睡眠時間がないなどの状況に陥っていること。「お手伝い」をしている状況ではなく、大人の変わりに家事をしたり、家族の介護をしたり、精神的に不安定な親のケアや小さな弟、妹の世話、見守りなどを日常的に行う。家庭内でのことのため「家族だから当たり前」という考えで、自らがヤングケアラーだという自覚がなく、回りの大人はもちろん、友達にも相談が出来ない子どもが多いという。
 これにより、学業に支障が出たり、交友関係が希薄になったり、睡眠不足、生活リズムが崩れるなど成長への悪影響が懸念されている。国連で採択された、世界中のすべての子どもたちが持つ権利を定めた「子どもの権利条約」では、子どもは、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利が定められている。
 別府市では、今年度から、ヤングケアラーコーディネーターに河野珠希さんを採用し、実態把握と支援を行う。まずは、ヤングケアラーとはどういうものかを子どもたちに知ってもらい、考えてもらうきっかけづくりを行う。
 12日午前8時20分、市立南立石小学校(安部恵校長)の4~6年生62人が体育館に集まり、河野さんの話を聴いた。河野さんは「お家のお手伝いをすることは、カッコいいことだと思うし、大事なことだと思います。しかし、友達と遊ぶ時間や宿題の時間もなくお手伝いするのはどうでしょう。大変ですよね。ヤングケアラーがいることは、特別なことではありません。子どもは、勉強し、遊び、休むことが大切です。家族を大切に思うのと同じぐらい、自分のことも大切に思ってもらいたい」と話した。
 引き続き、4年生は教室でアンケート調査に記入した。アンケートは基本的にタブレットからウェブで行われるが、希望する学年には紙でのアンケート参加をしてもらう。子どもたちは、先生の説明を聞いて、真剣にアンケートに答えていた。アンケートでは、悩みや困っていることがあるか、相談できる相手がいるか、相談したくないと答えた人にはその理由、お世話や家事をしているか、頻度や内容、回りの大人に助けてほしいことや手伝ってほしいことはないかなど、細かく聞いている。アンケートは匿名でも可能としてプライバシーに配慮した。
 別府市では、私立小・中学校、市内すべての高校についても今後、学習会とアンケートを行うことにしている。