インボイス制度の登録は…

別府市内100社が回答した

 別府商工会議所はこのほど、7月から9月の企業景況調査を発表した。今回で40回目。
 今回は、昨年10月から始まったインボイス制度の登録について質問した。「既に登録番号を取得済み」は全業種で61%。業種別では卸売業100%、製造業90%、建設業80%ともの造り関連の取得率が高かった。一方で医療・福祉業10%、飲食サービス業20%、宿泊業40%とサービス業関連では取得率が低かった。法人又は個人別でみると「既に取得済」の法人は88・7%であり、個人は29・8%となっている。やはり個人の取得率が少ない。なお全業種で「自社には不要と判断した」が25%、「自社に必要か分からない」が10%とあることから、制度がスタートしたもののこれまで以上に制度の目的やメリット・デメリットなどについて、個人事業主を中心に丁寧に時間をかけて説明し理解を求める努力は必要。
 市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
 ▽売上高=総合のDI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は27ポイント、卸・小売業関連は32・5ポイント、サービス業関連は35ポイントとともに大きなプラスとなった一方で、もの造り関連はゼロポイントと低迷した。前回調査と比較すると、総合で8ポイント減、もの造り関連は15ポイント減、卸・小売業関連で5ポイント増、サービス業関連で17・5ポイント減だった。卸・小売業関連は改善されたものの他の2つの大分類は悪化した
 ▽売上単価=売上高と同様に踊り場(経済用語で、景気が上昇する局面で景気の回復が鈍り、横ばいの状態にあること)に差し掛かっていると推測される。今回調査では総合30ポイント、もの造り関連35ポイント、卸・小売業関連25ポイント、サービス業関連32・5ポイントと大きなプラスとなっている。これを前回比でみると、総合11ポイント減、もの造り関連10ポイント増、卸・小売業15ポイント減、サービス業関連17・5ポイント減だった。サービス業関連は売上高指標と同じく、前回比で悪化したことに警戒感を持つ必要がある。
 ▽資金繰り=総合は今回マイナス1ポイントとなった。前回はマイナス3ポイントだったので僅かながらも改善されたと評価したい。業種別にみると、マイナスは全7業種のうち、卸売業(マイナス10ポイント)と小売業(マイナス15ポイント)の2業種で、建設業のゼロポイントを除き4業種でプラス値となった。なおプラスになったとしても最大値は10であり、売上高DIの45ポイントや売上単価DIの50ポイントと比較すると小幅なプラス値であり、資金繰りは平衡状態にあると言っても良い。
 ▽借入難度=総合でゼロポイントと前回のマイナス3ポイントから3ポイント改善し平衡値となった。業種別では医療・福祉業がマイナス20ポイントとマイナスのほか、製造業(10ポイント)と小売業(5ポイント)とがプラスで残り4業種がゼロポイントとなった。前回調査では製造業(マイナス10ポイント)、卸売業(マイナス20ポイント)、医療・福祉業(マイナス30ポイント)とマイナス値が3業種あった。全体では小康状態にあると言ってもよいが、医療・福祉業が2回連続でマイナスDIとなっており、借入難度の緩和が中々進まない実態が浮かび上がっている。
 ▽収益状況(経常利益)=総合は前回の10ポイントから今回は3ポイントと7ポイント悪化した。業種別では前回ではマイナスは小売業(マイナス15ポイント)のみだったが、今回は建設業(マイナス10ポイント)、製造業(マイナス20ポイント)、小売業(マイナス25ポイント)、飲食・サービス業(マイナス5ポイント)と4業種に増えたことに注意が必要。特に小売業は、他の6業種が来期見通しをゼロまたはプラスを予想する中で、唯一マイナスを予想でかつその値も今回より悪いマイナス55ポイントとしており、当業界が暗雲で覆われているように感じられる。
 ▽雇用人員=改善には相当長い年月を要するに違いない。全7業種で人員不足が生じている。マイナス50ポイントとなった業種が建設業、製造業、宿泊業と3つもある。最高が小売業のマイナス15ポイントとなると、個々の業界だけで人員不足を解消させることは困難であり、行政等の強いリーダーシップが必要とされている。
 ▽自社の業況判断=もの造り関連が前回比で10ポイントの悪化し、卸・小売業が7・5ポイントの改善した。サービス業関連は前回と同値だった。業種別では製造業が前回比20ポイント悪化のマイナス10ポイント、小売業もマイナス10ポイントと、この2業種がマイナスとなった。来期見通しもこの2業種がマイナスを予想しており、苦しい状況下にあると推察される。