総務省消防庁の「災害伝承10年プロジェクト事業・防災講演会」が19日午前10時から別府市公会堂で行われた。講師は、東日本大震災災害伝承語り部の草貴子仙台市泉区名坂東町内会長で、テーマは「私の3・11と明日への備え」。
川上隆・副市長が「熊本地震以来4年が経過しましたが、まだ記憶に新しい人も多いと思います。幸い、それ以降は別府市には大きな災害は起きていませんが、全国的に災害が年々大きくなっているように感じます。南海トラフや火山など多くの災害が懸念されます。日頃から防災意識を高めないといけない」とあいさつ。
草さんは「地震発生時は、買い物をしていて、立っていられないぐらいの揺れで天井が落ちてきたりしました。地区の集会所には100人ぐらいが避難してきて、外は雪が降り出す。約1㌔離れた避難所にという話をしても、動く人はいなかった。集会所では、リーダーを決めて、サポートしてもらい、持ち寄った食材で炊き出しをした」と当時を振り返った。
多くの人が詰めかける避難所となった集会所では、顔見知りだけではなく、うまくいかなことも多かったという。「トイレの清掃当番を決めた途端に家に帰った人、私の実家が壊滅したと何度も言いに来た人、ラジオや支援物資を家に届けてほしいと言う人、震災当日夜中に歯磨きをしたいから水をくれと言う人。人間のいろんな面が出た。10年経つと、関心も薄れてきているので、祭りなど人が集まる機会で防災訓練をしている」などと話していた。