住宅地図の生の親である、故・嶌末昌春氏の次男の嶌末昭浩さん(64)が15日午前11時15分、別府市に昭和26年に発行された初版住宅地図「別府市住宅案内図」など10冊を寄贈した。
元々、兄の良雄さんが保管していたものを、良雄さんが亡くなり、昭浩さんが引き継いだ。住宅地図の元祖「ゼンリン」の元になった住宅地図。昨年、ゼンリンミュージアムを訪れたが、ゼンリンにも初版の住宅案内図はなく、貴重なものだと分かり、別府市に寄贈することを決めたという。
本紙の「懐かしの別府ものがたり」の中で、1775回と1776回に良雄さんへのインタビューと共に、詳しく掲載されている。発行所は、住宅詳細案内図刊行会となっており、住所は千代町。出身は日出町だが、生まれたのは満州で、戦後、別府に引き上げてきて書籍販売の会社に勤め、古書店の軒先にあった江戸の古地図を見たのをきっかけに、住宅地図を思いついたという。
寄贈されたのは、いずれも昭和に発行されたもので、別府市(26年度初版、29年度改訂版)、大分市(27年、29年)、小倉市(28年)、門司市(30年、31年)、戸畑市(29年)、若松戸畑市(32年)、熊本市(同)の10冊。
嶌末さんは「私が持っているよりも、きちんとした形で保存してもらいたいと思っていました。父も喜んでくれると思います。1軒1軒名前が載っている。多くの人に見てもらいたい」と話した。
長野市長は案内図を見ながら「すごい」と言い、当時の市役所などを見つけて「感動しました。貴重な資料をいただき、心から感謝します。戦後、少しずつ安定した世の中になっていたと思いますが、これを作るのは、並大抵のことではなかったと思います」とお礼を述べた。案内図は図書館で保管される。