南海トラフ巨大地震「新被害想定」①

 国の有識者会議は「南海トラフ地震の新たな被害想定」を3月31日、公表した。
 近い将来、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震だが、国の被害想定が前回から10年余りが経過した全面的に見直された。
 ▽計算方法の変化で津波の浸水域が広がったことや避難が遅れた場合も想定したことから、最悪の場合、死者は29万8千人と前回の32万人余りからわずかな減少にとどまった。これまでの取り組みの効果もあり、迅速な避難に向けた取り組みや耐震化などがさらに進めば、犠牲者は大幅に減るとしている。
 ▽一方、避難生活などで体調を崩して亡くなる「災害関連死」が初めて推計され、最悪の場合5万2千人と東日本大震災のおよそ13倍にのぼるおそれがあり、避難者の生活環境の改善などが急務となっている。
 政府の地震調査委員会が今後30年以内に発生する確率を「80%程度」としている南海トラフの巨大地震。最大でマグニチュードは9クラスとされ、激しい揺れと大津波が「超広域」に及ぶのが特徴。揺れは▽震度6弱以上が神奈川県から鹿児島県にかけての24府県600市町村▽震度7が静岡県から宮崎県にかけての10県149市町村―で想定されている。
 津波は▽3㍍以上が福島県から沖縄県にかけての25都府県▽10㍍以上が関東から九州にかけての13都県―で想定されている。また、高知県と静岡県では局地的に30㍍を超えるおそれがある。
 死者は最悪で29万8千人にのぼり、前回の32万3千人から8%ほどの減少にとどまっており、最も多くなるのは冬の深夜に起きた場合としている。内訳は▽津波によるものが最も多く、21万5千人▽建物倒壊によるものが7万3千人▽地震火災によるものが9千人―と想定。  (つづく)