
2人が登壇して舞台あいさつをした
別府短編映画制作実行委員会のプロジェクト第5作目「喝采は聞こえない」の上映会と舞台あいさつが6日午後7時、別府ブルーバード劇場3階で行われた。
同映画の監督で吉本興業所属「チュートリアル」の徳井義実さんと、主演の岸田麻佑さん=ガールズエンターテイメントユニット「トキヲイキル」所属=が観客と一緒に、鑑賞した。
あらすじは、別府に暮らすヒロイン森いつき(岸田さん)は小さな地方劇団などに出演しながら、一度も主役を演じられないまま30歳になってしまう。そんなとき、ヒロインは偶然お葬式を見かける。祭壇に並ぶ祖母の遺影を見て、彼女は「あのおばあちゃん、主役だ」とつぶやいたことからストーリーが進む。
舞台あいさつの際、徳井監督らが登壇すると、観客から大きな拍手と歓声が上がった。
徳井監督が「見たことのないジャンルの映画と思うのですが、どんな感想なのか気になります。感謝しています」。
岸田さんが「いま、初めて見たのですが、日常を切り抜いたような完成だった。リアルだなと感じた。すごい自然と見れたし、クライマックスはこんな感じで映っているんだと感じました。ドキっとしました」とそれぞれ述べた。
映画ライターの森田真帆さんが撮影時の苦労したところを問うと徳井監督は「演者さんがNGを出さなかったし、撮り直すことはなかった。『煮卵です』と言ってポンと出すシーンは、スタッフが出すのですが8回ぐらい撮り直しました」と言って、会場は笑いが出た。
徳井監督が「主人公の森いつき役の岸田さんと友人役の原直子さんは『トキヲイキル』というメンバーなのですが、お互いの会話が自然。居酒屋のシーンは世代の方は気づいたかもしれませんが、ダブル浅野感が出ていた」と語った。
囲み取材で見どころを聞かれた徳井監督は「普段映画を見るときは『多分、こんな映画なんだろうな』と想像しますが、これは想像がつかない。それが見どころ。おそらく見たことがない感じ、感情となって帰ってもらえると思う」。
手応えを聞かれると「映画やネタでは、だいたいここでこんな感情になるとかが想像つくが、今回に限っては想像がつかない。手応えが分からない。できれば見た人はSNSで呟いてもらえれば」。
ジャンルについて「諦める人のMV(ミュージックビデオ)。決して別府を見て諦めるが生まれたのではなく、元々この企画が頭の中にあって、実際にお葬式を見たときに『死んだ人が主役なんだ』と思ったところから始まった。その原案があって、今回の話をいただいた」。
テーマの「人生切り替えエンターテイメント」と別府の親和性について「別府の持つ良い意味の緩さとか懐の深さ、許容してくれるところ。えもいわれぬ空気感。別府はド田舎ではなく、町に流れている空気が良い意味で温い空気が流れていて、居心地が良い。いつまでも入っていられる温泉のよう」と話した。