差別をなくす市民の集い

太鼓を作りながら体験談を語った宮内さん

 別府市、別府市教育委員会、別府市人権問題啓発推進協議会は、令和7年度「差別をなくす市民の集い」講演会を21日午後1時半、市公会堂で開催した。
 大分県では、昭和53年から、同和対策審議会に答申が出された8月を「部落差別等あらゆる不当な差別をなくす運動月間」と定めている。別府市は、市民の人権意識の高揚を図るため、講演会を開催している。
 協議会副会長の小野正明市議会議長が「人権問題を巡る状況は、人権4法が試行されているが、様々な事件が発生してます。特に、部落差別問題については今も結婚や就職、インターネット書き込みなど決して他人事ではない人権侵害が起きており、依然として解消されていない。観光客に心の行き届いたおもてなしをし、相手の立場を尊重しあう、心豊かな人権尊重の町づくりに努めていきたい」と会長である長野恭紘別府市長のメッセージを代読した。
 鹿児島県日置市の宮丸太鼓店の宮内礼治店主が「誇りを持って生きる」と題して講演した。宮内さんは、部落解放同盟鹿児島県連合会財務委員長を務めている。「太鼓屋は牛の皮を使っています。死んだものを使うということで、穢れ(不浄)な職業とされる古い歴史がある。子どもたちには、『それっておかしくない?小さい時から太鼓屋になりたいと思っているだけなのに』という話をする」と話した。
 いつも、子どもたちの講座の際にやっているように太鼓作りをしながら講演。活動のきっかけとなったは、店先で太鼓を作っていた時に、小学生の女児3人との会話。子どもたちが自分の仕事に興味を持ってくれたことをうれしく思った宮内さんは、太鼓が牛の皮から出来ていることを説明すると、子どもは「牛を殺して作っているの?かわいそう」と言った。「そうじゃない」と思いながらも誤解を解くことができずに悩んだ。「伝言ゲームの悪いバージョンが起こるかもと思った。太鼓を作るために牛を殺しているわけではないのに、小さな誤解が大きな誤解になる。学校であれば、差別につながる。人間は、大人でさえそうだが、子どもたちは大人の言うことや表面的なことを信じてしまいがち」などと話した。