「竹ヤリでB29を撃墜!」クマ対策に派遣される自衛官の姿を見て涙が出た。迷彩上下とヘルメット、アーマーベスト、ヒザ当てまではいいが、派遣隊員の標準武装?が木銃と呼ばれる木剣。日露戦争時代に制式された38式歩兵銃に着剣したサイズの長さで、銃剣道競技用に開発された。白兵戦で歩兵が突撃する訓練用の木製の銃の形をした樫木などで作られたものだ。竹ヤリでB29爆撃機を落とせと号令した終戦直前の姿を感じた。武装集団の武器使用にアレルギーを感じたのだろうか、隊員を丸腰でクマと対峙させる。有事想定を全く理解していない愚か者の所業だ。これが3自衛隊を指揮する最高指揮官か。当初は陸自出身の秋田県知事が止むに止まれず、防衛省に駆け込んだ。
自衛官が武器使用に決断出来ないなら、法を直ちに改正して任務の重要性を追及すべきだ。捕獲、駆除は県警で、自衛隊は後方支援と真面目顔で解説する。警察の後方支援する国軍がどこの世界にあるか。こんな不名誉な命令を受ける自衛隊にも問題がある。
百歩譲って警察官職務執行法を拡大解釈すれば、世界各国の国賓に対し銃に着剣して「捧げ銃」などの儀礼を司る自衛隊の儀仗隊は、その時点で司法警察員の資格で任務に着く。防衛出動時も逮捕、拘束権を有する司法警察員の資格を付与される。
またまことしやかに現在陸自等が使用する口径5・56ミリの小銃では充分な殺傷能力(ストッピングパワー)が有効ではないと指摘する自衛官マニアが武器の有効性を論じるが、現在陸自では狙撃手と観測手の2人1組で当たる狙撃ユニットがある。射手は米国レミントン社製のM700が配備されている。口径は旧NATO軍用の7・62ミリで有効射程は12~1500メートル。ベトナム戦争時代に開発されたが、今も現役でバージョンアップしながら、米海兵隊の標準装備で、夜間暗視用のスコープもある。
クマ被害者はほとんどが高齢者だ。命はかげがえがない。これに対処する崇高な任務に着く若者の名誉を何と心得るか。 (陽)
