勝利のカギ

 高市早苗首相がドナルド・トランプ米大統領と会談した。両氏が友好ムード最高潮で2日の日程を終えた。一部のメディアは大成功、一部は迎合しすぎだと批判的。
横須賀停泊中の原子力空母ジョージ・ワシントンで、日米会談となった4千人の将兵を前にハシャギすぎ、政治的パフォーマンスが過ぎるという意見もあった。
 彼女は日米同盟の意義を伝え、今後さらにこの関係の高みをめざす旨の発言で大いに盛り上がった。ハシャギすぎか。それでは歴代内閣総理大臣で日米安保の最前線で任務につく若い将兵と、このような形で直接対話を行った首相がいたか。階級章の1~3スターの将軍クラスは別格として、兵、下士官の歓声を受けた総理がいたか。米軍の兵士はほとんどが17歳以上から全米各州の訓練部隊に配属されて、日本へ派遣。田舎出身の若者が圧倒的。地方出身の子ども達が日米同盟のその一端を担っている。
 日本を脅かす事態に遭遇すれば犠牲者が発生する可能性もある。こんな兵士たちに日本の真意を伝えるチャンスを得た総理が一体何人いたか。この将兵の中には東日本大震災で東北に派遣を志願した兵士もおり「ともだち作戦」に参加経験者もいるという。
 また、首脳会談中に、拉致被害者の家族と会見。「アメリカはあなたたちとともにある」とトランプ氏に言わしめた。
 高市氏はこの直後APECでアジア太平洋各国首脳と会談。習近平中国主席とは日中の経済文化交通の重要性を伝えた上で▽尖閣問題▽レアアースなどの円滑な貿易▽拘束中の日本人の早期解放を堂々と主張。あの習近平氏に対してである。韓国では韓国のりを食べ、韓国コスメを使い、韓国ドラマをよく見る。会談前に韓国旗太極旗に一礼するなど韓国人のハートをつかんだ。単なる政治パフォーマンスの域で片づけられない外交のインパクトを存分に生かし、「日本初の女性首相」のタイトルが彼女の背中を押し続ける。総理公約の経済問題、議員定数削減、税政改革の目に見える改革を得ての政権運営が最大の課題。また、「地方創生」の熱量不十分の指摘もある。勝利のカギは「地方」にある。  (陽)