別府市消防署と別府警察署の合同訓練

ドアが開錠できないため、エンジンカッターで
ドアを破壊する別府警察署員
壁を破壊して救助用の穴から要救助者を
部屋から救助する消防隊員

 別府市消防本部・署、別府警察署は合同訓練を25日午後1時、杉乃井ホテル本館・旧中館で実施し、別府市消防本部・署19人、別府警察署14人が参加した。当初は大分県警警備運用課・機動隊が参加予定だったが、大分市佐賀関で発生した大火現場に出動している。
 想定は「令和7年11月25日午前7時、別府市近隣にて震度7級の地震が発生し、杉乃井ホテル旧中館・本館においても建物の被災(座屈など)が確認。発災当初から、杉乃井ホテル従業員による避難誘導措置が実施されたが、旧中館・本館の損壊が激しく、宿泊者の安否確認が困難となり、同日午後1時から別府警察署および別府市消防署が救出のため臨場した」というもの。
 訓練前に訓練開始報告を受けた浜崎仁孝市消防長が「18日に大分市佐賀関での大規模火災では、警察と消防が連携し、人的被害を最小限にすることができた。本訓練を通じてお互いの組織で何ができるのかを情報共有し、顔の見える関係を構築を図り、日々、市民や観光客の安全安心を提供できるよう取り組んでいく。実災害と同様に緊張感を持ち、安全・確実・迅速に訓練せよ」。
 鞍馬達也別府温泉杉乃井ホテル総支配人が「今回の訓練において、普段の訓練とは異なる実践的な訓練を実施し、今後の的確な事案対応に更なる万全を期するための一助になればと思います」とそれぞれあいさつ。
 はじめに情報収集訓練として、先に現着した別府警察署員が現地指揮所で施設管理者から、安否確認ができていない宿泊客の情報を聞き取った。屋外では、別府市消防署員がドローンを飛ばし、要救助者の検索を行う予定だったが、急な降雨のために中止した。
 本館3階にて助けを求める女性の宿泊客が発見されており、室内には意識のない宿泊客1人いることが判明。別府警察署員が建物内を検索したところ、建物の損傷個所が激しく、足場が非常に悪いことが判明したため、屋外から救助するように提案。市消防署員が建物外から三連はしごを使って女性の宿泊客のもとに行き、消防署員が自力歩行可能な女性と一緒にはしごを使って避難、意識のない要救助者はタンカに乗せて、ゆっくりと屋外から1階に救助し、救護所のある同館エントランスに避難させた。
 続いて、本館2階で検索した際、宿泊客が呼びかけに応じない事実が判明。ドアが施錠されており、オートロックによる開錠ができないため、別府警察署員がエンジンカッターでドアの一部を破壊し、室内に進入した。室内で、意識のない宿泊客1人を発見し、要請を受けた救急隊が救命措置をし、救護所に運んだ。
 最後に、中館2階SPAサンドセラピーで要救助者がいることが判明したが、ドアが破損し、出入口ドアからの進入が不可能と判断。救出のため、壁を損壊して救助用の穴を開ける「ブリーチング」を行い、室内に進入し、要救助者を室外に出し、担架で運んだ。
 訓練終了式で、訓練終了報告を受けた村上京平別府警察署警備課長が「本日の訓練で得たことや経験があると思いますので、今後これを活かして一緒に警察と消防が活動していければと思います」と講評した。