大分県及び県内18市町村は30日午後2時半、消防司令業務(119番)の共同運用に関する協議をホテル日航大分オアシスタワーで開催した。広瀬勝貞大分県知事をはじめ、各市町村長が出席した。都道府県単位での一元化は、全国初の試み。
県内の消防・救急体制は、高齢化に伴って増加する救急需要に対応するとともに、頻発・激甚化する大規模・広域災害や南海トラフ地震に備える必要がある。一方で、各市町村は人口減少で将来的に高度化する消防司令設備などの整備・運用に要する財源の確保や消防業務を支える担い手の確保が課題となる恐れがあることから、将来にわたって必要な消防体制を維持し、住民の安全・安心を確保できるように共同運用実現に向けて検討を進めてきた。
共同運用を行うことで、整備・運用に係る財政負担の軽減、司令業務に係る人員負担の軽減、災害情報・活動情報の一元管理による相互応援の迅速化を図ることが出来るなどのメリットがある。
財政面では、消防司令システム整備や無線システム整備、庁舎整備など最大に見積もって約86億円が必要としているが、国の補助金により負担額は約26億円。うち、半分を県が財政支援を行うことにしている。業務面では、司令台数や回線数を大幅に増強して、災害時等でも119番通報がつながりやすくできる他、共通のシステムを導入することで司令業務の高度化につながる。地理に明るく十分経験を積んだ通信司令員を配置。消防業務の水準を確保するために必要な体制整備を行う。
共同運用の運営は、大分市が各市町村から事務委託を受けて行う方式となる予定。令和2年度に基本設計・実施設計を行い、令和6年4月からの運用開始を目指す。
広瀬知事は「ニーズの増大、担い手不足、財政問題など様々なことがある。財政面では相当有利な状況で話がまとまったと思う。皆さんに了承をしてもらい、進めていきたい」とあいさつ。業務を担うことになる佐藤樹一郎大分市長が「平成30年から議論をしてきました。全国的にも例のない、一大プロジェクト。今後とも協力してやっていきたい」と述べた。
各市町村長からは「共同で使っていくシステムが今度とも必要になると思う」「消防司令システムの更新が必要になっており、財政面で助かる」「人もお金もどんどん減る中で、だからといってシステムや建て替えは安くはならない。体制的にも助かると思う」と全て賛成の意見だったことから、計画を進めていくことを確認した。