日出町大神の糸ケ浜海浜公園に「日本一海に近いラブベンチ」が設置された。公園南側の砂浜にあり、全長約2・5㍍。大人3人程度、子どもなら5人程度が座れるベンチ。
「ラブベンチ」を作ったのは、日出町の地域おこし協力隊の冨田満さん(60)。協力隊となって1年以上になる。今年4月下旬、糸ケ浜の海岸線を歩いていると、多くの流木が打ち上げられているを見て、「このまま処分されてしまうのは、忍びない。木の生涯を全うできるものにしたい」とその形を生かしてベンチが作づくりを考えついた。
流木は、ほとんどの部分が砂浜に埋まっているため、波が来ても流される心配はあまりなさそう。コツコツと木を削り、防腐剤をぬった。その後、真っ白にペイントして、そこにハート柄を描いていく予定だった。
しかし、作業をしていると、通りかかった地元の人や子どもたち、観光客が「自分たちもやりたい」と声をかけてくれて、思い思いのイラストを描いた結果、花やハート、カモメ、くじら、魚などカラフルな作品に仕上がった。
ベンチには古代文字で「糸」、ローマ字で「GAHAMA」と書かれている。
完成後は、ウォーキングをしているお年寄りの憩いの場になったり、キャンプなどで訪れた人のフォトスポットになるなど、それぞれ楽しんでいる。
流木が流れつくポイントであるため、海からの漂流物も多いのが悩みの種。作業をする前にはまず清掃活動から始めていたという。ベンチの前には、気軽に清掃ボランティアをしてもらえるように掃除道具も設置。冨田さんは「糸に赤をつければ『赤い糸』。糸ケ浜を恋人の聖地にしたい。やりたいことはまだまだある」と笑顔で話した。