内外情勢調査会大分支部懇談会

「大分県版地方創生」を解説する
広瀬勝貞大分県知事

令和新時代の大分県版地方創生

時事通信社(来社・東京都中央区銀座)が主催する内外情勢
 調査会大分支部の懇談会は29日午後、大分市のオアシスタワーホテルで開かれ、講師の広瀬勝貞大分県知事が1時間30分、微に入り細にわたり県政が抱える課題や諸施策についてみっちり解説した。
 懇談会開会にあたり時事通信取締役編集局長の境克彦氏(大分県出身)が主催者としてあいさつ。
 広瀬知事が演壇に立ち、精力的に一気に次のように語った。
 5期目の県政運営を担当するようになりました。「志は高く、身は低く」を、モットーに、皆様方の声を頂きながら諸施策を進めて参ります。―と前置き。
 令和元年、新時代はどのような覚悟を持って身を処していくか。まづは
 ▽グローバル精神=日本は世界規模で連携保持が求められ、世界の平和と安定のため長い間貢献を続けてきた。経済協力に加えて汗も流すグローバル精神が求められている。
 ▽インダストリ―4・0などを応用=先端技術が世を変えて来た。経済産業の新たな時代に対応する
 ▽日本経済低迷を経て=経済低迷の長いトンネルをやっと抜け出せた。昭和63年のGDPは全世界で第2位、平成10年6位、H20年に24位、H30年に26位。今参院選は与党が圧勝、国民は経済の活性化に期待した。
 ▽少子高齢化、人口減少社会への対応=日本の人口はS42年1億人を超し、H22年1億2千8百万人がピークとなり、H27年に1億2千7百万人から減少の傾向。2053年に1億人を割り、2100年には6千万人を下回る。大分県は現在114万人、2035年には100万人を割り、今世紀末には46万人にまで減少すると見られている。―以上の4点を念頭に置き、[大分県版地方創生]を加速前進させていくための具体策を次のように掲げた。

6項目にわたる具体的施策は

 ①[人口ビジョン]=大分県は、このまま何もしなければ今世紀末までに46万3千人となる。人口百万人を維持するためには、「健康寿命日本一」「障害者雇用日本一」「子育て満足度日本一」を挑戦し続ける。令和6年までに2歳寿命延伸を図る。健康維持のため「一十百千万」を心がける▽1日1つ良いことをする▽1日10人の人と話す▽漢字を百字書く▽千文字を読む▽一万歩歩く・加えて十分な睡眠と心の健康を維持する。障害者の雇用は全国で6位。R3年までに2・3%、雇用アドバイザーによる企業への働きかけ強化。子育ては子ども医療費の支援とあわせ、保育料の減免拡大、育児休暇の充実、育休取得のための給付金支援、育休時短を適用する企業への奨励金制度の充実。各地に子育て支援相談センターを設け活発化させる。この他高齢者、子育てを地域で支える仕組みづくり、さらに大分県教育水準の「高度化」をめざす。小学6年中学3年で全国テストを行った。H30年小学6年生は全国トップ10、九州ナンバー1。中3ではH30年九州トップレベルにまで進出した。また子弟の不登校問題も細やかな対応をしている。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置や市町村の教育支援センターやフリースクールと連携して対応していきたい。
 ②仕事をつくり、仕事を呼ぶ=農林水産業では、生産流通に関する構造改革を加速し、創出額の拡大と収入増を図る。水田から作柄変更による収益性の高い産物の産地形成を図る。畜産は市場活性化により生産者の所得向上を目指す。商工業の振興の1つに事業継承者問題がある。別府市で竹製品の原材料を卸す事業者が後継者不足になり廃業の危機を迎えたが、事業引継ぎセンター、別府竹製品協同組合らが集まり、在京の金融機関に勤めていた人物に頼んで事業の継承にこぎつけた。このほか創業支援の充実を図るためH27年から29年までの3年間、社の操業目標に対し実績は1653社、H30年は500社目標に対し、599社。戦略的な企業誘致はH15-30年で435件、20084人の雇用を生み出した。投資総額は9658億円にのぼった。引き続き強力に企業誘致を推し進めていきたい。 (つづく)

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