高齢者と障がい者虐待防止委員会

医療、福祉関係者らを委員に委嘱した

 別府市高齢者及び障がい者虐待防止ネットワーク委員会の令和元年度第1回会議が25日午後2時から、市役所で開かれた。
 委員は、医療関係者、福祉関係者、有識者、当事者団体、警察、保健所、行政など18人で構成されている。
 中西康太市福祉保健部長が1人ひとりに委嘱状を手渡して「高齢化が急速に進んでいますが、平成29年度の厚生労働省の調査によると、養護者による虐待事例は年間約1万7千件で、被害者の約7割が認知症。施設虐待においても、約500件で約8割が認知症というデータがある。虐待の背景には、認知症をはじめとした様々な要因があり、それらの要因を早期に発見し、対応することで虐待を未然に防ぐことが出来るのではないかと考えます。障がい者虐待についても、本市では平成26年に『別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例』が施行され、共生社会の実現に向けた事業を推進しています。行政の対応だけでなく、関係機関の皆さんの力添えなしにはより良い支援は叶わないと考えています。キタンのないご意見をお願いします」とあいさつ。
 松本佳織弁護士を委員長に、首藤辰也地域支援センターほっと所長を副委員長に選任。議事では、ネットワーク委員会の実務者会議を廃止することが報告された。委員からは「当初から必要性を疑問に思っていた」とする声もあり、また「廃止をするならまず、委員会に諮るべきだったのでは」との意見もあったが、他にも多くの専門会議体があることなどから、廃止することを決めた。
 高齢者、障がい者それぞれの平成30年度虐待相談件数や令和元年度の事業計画についても報告がされ、承認された。高齢者虐待の相談件数は60件(前年度比5件減)で、虐待と認定したのは4件だった。身体的虐待が25件と多く、経済的虐待10件、セルフネグレクトと心理的虐待が各9件、介護放棄・放任7件となっている。相談経路の多くは警察、地域包括支援センターから。虐待(疑いを含む)されている人の6割は介護認定の申請をしていない人で、女性が81%。虐待者との関係は、息子が33・3%、夫24・1%、娘18・5%などとなっている。要介護施設による相談は6件で、虐待が認められたケースはなかった。
 障がい者虐待相談は6件で、うち身体的虐待と性的虐待がそれぞれ1件ずつを虐待と判断した。被虐待者(疑いを含む)は、精神障がい3人、知的障がい2人、身体・知的1人。母親からの虐待が4件と多く、父親と娘が各1人。施設従事者からの虐待相談は3件で、虐待と判断されたケースはない。
 成年後見制度の利用促進や関係者への研修などを行い、未然防止と知識、対応技術の向上を図ることにしている。

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