新しい公共空間としの図書館

嶋田教授(左から2人目)らが参加して
新しい図書館のあり方についてパネルディスカッションを行った

 別府市教育委員会は、新図書館づくりに向けたオープンプラットフォーム会議を19日午後2時から、別府市公会堂で開催した。テーマは「市民とつくる新しい公共空間」。
 嶋田学・奈良大学文学部文化財学科教授が「市民とつくる新しい公共~瀬戸内市での市民協働による図書館づくり~」と題して講演した。嶋田教授は、岡山県瀬戸内市立図書館の立ち上げに携わり、計画から開館後の運営まで、市民とともに図書館を作り上げた経験について話した。「瀬戸内市に新しい図書館を作るきっかけとなったのは、住民1人当たりの蔵書数、貸出冊数が県下ワースト1位との報道が出たこと。計画段階から参加するため館長の公募があり、私が手を上げた。それ以前に、滋賀県永源寺町図書館の準備室に参加した時に、『図書館とか出来ても、わしは利用せん』とおじいさんに言われましたが、開館すると新聞を読みに来て、そのうち雑誌、本を読むようになり『こんな本もあるんか』と本を借りていくようになった。おじいさんにとって、図書館は、小説や文学の本が並んでいるようなイメージだったが、来てみると、いろんな本があることが分かり、本の楽しさを知ってもらえた。1人ひとりの住民が『自分ごと』『自分たちごと』として、友の会を作り、活動してくれている。図書館を活かし、育てるのは住民」などと話した。
 引き続き、パネルディスカッションがあり、嶋田教授をはじめ、別府市新図書館等整備基本計画策定委員会の塚田俊三委員長、中野伸哉、平石栄二、山出淳也、阿南寿和、稲尾隆・各委員がパネリストとして参加。新しい図書館への期待や学生がディスカッションできる場づくり、学校図書との連携などについて考えを述べた。パネリストからは「従来型の静かな空間は新しい図書館でも核となると思うが、賑やかな空間との併用など箱物と同時に運用能力が必要」「ワークショップが出来たり、多目的なスペースを設けることが必要」「いろんな出会いが生まれることが大切。ネットで簡単に調べることができるが、図書館に行くことで、思いも寄らない出会いがある。全ての人に開かれた図書館になることが必要だと思う」などの意見が出た。

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