学校給食シンポジウムを開催

現場の栄養士や金田名誉教授(右から2人目)らがパネリストとなりシンポジウムが行われた

 別府市教育委員会は、学校給食シンポジウムを26日午後2時、市役所で開いた。約110人が参加。
 別府市では、現在、小学校は各学校内での単独調理場、東山幼小中学校と中学校は共同調理場から給食を提供している。共同調理場は、老朽化が進み熊本地震では被災して約2週間給食が提供できなくなるという事態も起きた。単独調理場も多くが築40年以上経過して老朽化が進み、学校給食衛生基準に合致していない状況が続いている。衛生基準では、汚染区域と非汚染区域を分け、床をぬらさないドライ運用が求められている。単独調理場を維持するためには、今よりも広いスペースが必要で用地の確保が難しいことや改修費も莫大となるため、共同調理場方式に一元化する方針を打ち出した。
 しかし、単独調理場を残してほしいという声は根強い。市教委では、多くの人に理解してもらうため、シンポジウムを開いた。現在は、基本計画を策定しており、シンポジウムもその一環。
 寺岡悌二教育長が「共同調理場の建て替えは、ずっと以前から懸案だった。幸い、大きな事件、事故は起きていませんが、それは栄養士や調理員が衛生面に気をつけてくれているからで、過酷な状況です。基準に合致したものを作りたい」とあいさつ。
 第1部は、金田雅代女子栄養大学名誉教授が「学校給食における衛生管理と食育について」講演した。金田さんは「30年間、多治見市で栄養士として勤め、平成7年から文部科学省に行った。翌8年に0157食中毒事件が起きて、5人の尊い命が奪われました。学校給食を根本的に見直した。悪事例を配布して意識改革を図り、2次汚染の多くは跳ね水による汚染が原因と分かり、ドライ運用に切り替えた。当時は、水まきをすればキレイになるという思いこみがあった。学校給食は美味しくて学ぶもの。望ましい食習慣が定着できる大事な場。静岡県袋井市でセンター化をした時、市民の『単独調理場でなければいけない』という請願がすごかった。教育長から、単独校と遜色のないものをと言われ、一生懸命やった。食育は健康寿命を延ばすことにつながる。その大きな柱を考えて計画をすることが大切。具体的にやるのは、栄養教諭が工夫する」とセンターでも工夫次第でやれることが多いと語った。
 第2部は、「安全安心でおいしい学校給食の提供について」と題してパネルディスカッションを行った。パネリストは、金田名誉教授、藤澤美津江大分市栄養管理士、寺岡泉別府市立亀川小学校栄養士。寺岡さんは「手洗いだけでも何度も行う。1人ひとりの衛生意識が大事になると思う。野菜はすべて加熱調理なので、生野菜が出せる所が羨ましいなと思う」。藤澤さんは「センター化によってできなくなることもあるかもしれないが、出来るようになることもあると思う」などと話した。金田さんは「高い機械を入れても、使いこなせないと意味がない。いかに関心を持つかが重要」などと話した。

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