今そこにある危機

 新型肺炎コロナウイルスは中国本土で2万人を超す感染者、490人が死亡した。発生から今日に至るまで、超短時間で被害は大幅に拡大した。
 ここまでに至る問題は、▽発生当初の中国政府の楽観的な対応▽WHO(世界保健機構)の解析能力の欠落―――が主な原因。日本政府は震源地の中国湖北省武漢市に滞在記録のある人物の入国拒否、在留邦人の帰国支援、感染検査キットの開発―――など次々に手を打ってはいるが、「有事即応」の態勢には至ってはいない
 新型肺炎ウイルスは「自然発生」した災害。しかしこれが日本に対する攻撃手段としての兵器、即ち生物化学兵器の一つとしたら、どうこの国を守るか。出入国の規制はもちろん、自国民の安全確保のためには、国民の自由を、国家は強制的に制限する権限を厳然と行使するべきであり、在留邦人引き揚げの飛行機代金に言及する余裕など、今流行のポピュリズムを徹底放棄すべきだろう。
 日本を出発して中国香港を巡り、横浜に帰港した大型客船には3千7百人の乗客、乗員が居り、上陸禁止の措置が取られている。中国人乗客1人に感染が認められた。本日(5日早朝)検疫の結果、10人に感染が認められた。この10人を即座に施設に移す。一日早めた帰港だが、停泊3日目になる。精神も肉体も極限の状況下にある。
 昨日の参院予算委では、あいも変わらず安倍内閣の不信を口に、批判非難のオンパレード。出来の悪い安倍一強体制は百も承知、二百も合点だが、この時期に「桜」の前夜祭会費の問題を口にすべきか。夫婦別姓を心底主張すべきか。安倍側近を立件できぬという検事総長の人事問題、司法システムの不備を口にすべきか。客船の3千7百人はNHKに映し出された国会のこの場面を見ているぞ。心に泪しながら。党利の為には手段と時を選ばぬポピュリズム政治の堕落を。国を震撼させる危機は今、そこにある。  (陽)

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