青森市で生まれ育ち東京都在住のダンサーで振付師の木村玲奈さん(37)の成果発表会「どこかで生まれて、どこかで暮らす。別府にて」が14、15日、別府ブルーバード劇場3階で行われた。新型コロナウイルスの感染防止で、座る場所は間隔を空けていた。
作品は、木村さんの初めての振付作品。作品の生まれるきっかけは、上京した木村さんが慣れない日々を過ごす中で、環境や言葉において身体の変化や状態、他人の存在のあり方に興味を持つようになったこと。そして、2012年に作品を作り始めたころ、「いつかそれぞれの出身地で創作、公演したいね」とメンバーで話していたという。
出演は、遠藤僚之介さん、佐藤有華さん、重里実穂さん、田添幹雄さん、中間アヤカさん、木村さんの6人。
12年からの8年間で、神戸、青森、横浜、東京、城崎、香港、豊橋に移動し、身を置いて作品を育ててきた。「どこかで生まれて、どこかで暮らす。」という同じ作品名でも、場所が異なれば、作品内容も変わっている。今回は、8年前から作品を作ってきた中間さん(27)が別府市出身なので、今年度は別府での滞在制作を企画した。木村さんは昨年8月、事前リサーチとして初めて別府を訪れた。
成果発表会では、はじめに来場者が舞台に設置されたイスに座り、出演者が客席でダンスを披露した。続いて、出演者と来場者が位置を逆転し、ダンスを踊った。
来場者は普段見ることのない舞台からの光景を真剣に見ており、位置を逆にしても変わらなかった。発表会終了後も、来場者は余韻を楽しむようになかなか席を立たなかった。
「心から嬉しかった」と中間さん
別府市出身の中間さんは、17歳で別府を離れて英国ランベール・スクールでバレエなどを学ぶ。帰国後は神戸に移住し「国内ダンス留学@神戸」1期に奨学生として参加し、ダンサー奨励賞を受賞している。今回の公演について「舞台や芸術に関心があっても、私が育った当時の別府では触れる機会が限られていたように思います。私がずっと大事にしてきたダンスというものを通して顔を合わせることができて心から嬉しかったです」と語った。