「豊後絞り」学んだ大分大附属小5年生

別府駅コンコース内に子どもたちが作った豊後絞りのハンカチを飾った

 大分大学附属小学校の5年1組34人が、総合学習の時間で1年間をかけて学習した、「豊後絞り」のハンカチ80枚を製作したうちの約40枚を16日からJR別府駅コンコース内に展示している。
 大分県を訪れる多くの観光客らに大分の新しい魅力を知ってもらうことをテーマに、各学年、学級で取り組みを決めた。カボスや温泉といった一般的に知られているものではなく、魅力はあるのにまだそれほど知られていない「コア」なものを調査。その中で、以前、別府駅に豊後絞りを展示していたのを見たことがある児童がいて、みんなで話し合った結果、豊後絞りにチャンレジすることにした。
 豊後絞りは、江戸時代初期に鶴崎地方が発祥と言われている。当時、相模国三浦半島特産の三浦木綿に施された絞りは、旅人のみやげ物として人気があった。その後、大分県全域に広がり、家庭用の布団や衣類の文様として受け継がれてきた。明治の中期頃になると、絞り業者も増えて技術も向上し、「別府温泉絞り」として販売されるようになった。絞りの模様は、割り箸やフィルムケース、ビー玉、石、洗濯ばさみなど身近にある物を使って布にシワ付をすることで出来る。模様をつけたい場所に石などを入れて、輪ゴムでとめる。染めムラが出来ないように水につけてから、藍色に染める。最初は緑色だが、空気に触れると藍色に変色する。それを3回繰り返して、水で洗って干すと完成。同じ物を使っても、2つとして同じ物は出来ないのが、染め物の魅力。
 児童も実際に別府に来て、別府温泉絞りを体験したりして、その魅力を感じた。今回、作成したハンカチは、別府市内の観光施設で配る予定にしていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、対面での手渡しが難しくなり、どうしようか話し合っている最中に急に学校が臨時休校になってしまい、そのままに。
 担任の永井徳俊教諭によると「子どもたちは『自分たちが作った豊後絞りはどうなってしまうんだろう』と残念そうな様子だった」という。
 「子どもたちの思いを形にしよう」と大人が立ち上がり、JR別府駅構内に展示することになった。この日は、永井教諭をはじめ、6年2組担任の佐々木淑子教諭、権藤和雄別府八湯温泉まつり実行委員長、別府商工会議所青年部の有志が集まり、みんなで天井からハンカチ2枚をつないで飾った。爽やかな藍色の豊後絞りが風を受けてなびき、駅の利用者も楽し気に見上げていた。展示は少なくとも1カ月は行う予定。永井教諭は「子どもたちに伝えたい。とても喜ぶと思う。皆さんのおかげ。ありがとうございます」と話した。
 また、6年2組33人が作った大分市の観光パンフレットも当初は観光客に配布する予定だったが、大分駅と別府駅に置いてもらい、自由に持ち帰ってもらう形にする。佐々木教諭は「本当は別府市版も作りたかったのですが、時間が足りなかった…」と話した。

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