別府市の長野恭紘別府市長は13日午後3時、緊急の記者会見を開き、新型コロナウイルス感染症緊急対策として、約10億3千万円の補正予算案を15日に開会する臨時市議会に上程することを発表した。
緊急対策は「雇用を守る」取組、「事業を守る」取組、「市民の健康・生活を守る」取組の3本柱。財源は、財政調整基金を充て、令和2年度予算に計上した図書館等一体整備事業や東洋のブルーラグーン事業などの重点施策を含めて、事業の執行を見合わせることによって捻出する。
「雇用を守る」取組としては、市内の事業所に勤務またはしていた人で、新型コロナの影響によって休業を余儀なくされた人、解雇または内定を取り消された人などを対象に、市の臨時職員として雇い入れて最大500人規模の雇用機会を創出する。収入を保障するとともに他の事業者の雇用に影響を与えないように、兼業による就労を可能とする。1年間雇用できるように、予算は約6億円を計上。
市営温泉の衛生管理や保育園、幼稚園など人手が不足している所を補いたい考え。長野市長は「市内では観光、サービス業が9割。客がこないと店が回せず、雇用が絶たれる。しかし、全くこない状況ではない。コロナに関して影響が出た人ということで、今の仕事に所属を置きながら臨時職員として雇うということも可能ということ。面接に来る人は基本的に雇い入れるということだが、密な状態にならないようにまずは電話で問い合わせてもらいたい」と説明。面接についても、20日過ぎから始めたい考えを示した。
「事業を守る」取組では、▽中小企業者等賃料補助事業=店舗等の賃料に対する助成で補助率は1/2、上限月7万円、最低6カ月▽小規模事業者持続化支援事業=経済産業省が行う補助金の事業者負担分となる1/3を市が負担▽中小企業者向け新型コロナウイルス感染症関連相談事業=別府商工会議所と連携して、各種申請等のサポートを行う相談窓口の設置ーを行う。予算額は約4億3千万円。
「市民の健康・生活を守る」取組としては、200万円を計上。市民を守る部分では、清掃・消毒用の次亜塩素酸ナトリウム液を児童施設、福祉施設、教育施設、医療機関、観光施設、旅館・ホテル等に配布。マスク、非接触型体温計をを学校、放課後児童クラブ、保育所、医療機関などに配布(既存の予算で対応)。感染予防や健康情報などの発信(同)として、自宅等でできるエクササイズや温泉入浴の効用を紹介するような動画を市のホームページで行う。
生活を守る部分では、別府市社会福祉協議会事業として「“コロナに負けるな別府っ子!”応援特別事業」を展開する。世帯の収入や失業などによって支援が必要な小学生や中学生1人1万円を支援する。さらに、市税等の減免・猶予などを行う。収入の減少によって生活に影響が出ている市民の負担を軽減するため、窓口ワンストップ化や提出種類の共通化など、手続きを簡素化して利用を促進する。社協の事業については、平成30年にもらった寄付を原資に行うもので、社協の独自事業となる。
長野市長は「収束の見通しがたたない中で、今後も状況に応じてあらゆる政策を機を逃さず、思い切って総動員して、市民生活、地域経済を全力で守ります。国から二の矢、三の矢がくるかもしれないが、それまで別府市民が事業を守り雇用を守っていられるか分からない。こういう時こそ頼りにされるのは、自治体。皆さんに寄り添ってしっかりやっていきたい。国と自治体が一緒になってやれる良いモデルになるのではないか。日々、市民と触れ合っている感覚からして、思っているよりも深刻だと思う。余裕のある人ばかりではないと思う。今できることを精一杯やることが必要。事態はひっ迫している」と現状を訴えた。