帆足萬里記念館で特集展を開催

帆足萬里をはじめ日出町の疫病への闘いを紹介した展示を開催中
コレラ退散で信仰されていた加藤清正公の木造

 日出町の日出町資料館・日出町帆足萬里記念館は、令和2年度第1回特集展「疫病・病魔~先人達の闘い~」を来年1月17日まで開催中。新型コロナウイルス感染症が全国的に広がっている中で、昔も同じように感染症や疫病が流行した経験から、先人達がどのように克服していったのかを信仰と医療の面から紹介している。
 展示は4部構成。第1部は「麻疹(はしか)にかかった将軍世子」。麻疹は感染力が極めて強い疫病として知られている。江戸時代には13回も流行があり、多くの人が亡くなったという。太田資始が天保7(1836)年に日出藩主に送った書状には、将軍世子であった徳川家慶も麻疹にかかり、江戸城の奥で隔離されていることが記されている書状などを展示。
 第2部は「傷寒~江戸時代の流行病~」として、傷寒(諸説あるが、チフス、インフルエンザ、マラリアに似た疾患ともいわれる)を何度も患い、視力を失った出来蔵という農民が、愛宕神社への厚い信仰で視力を取り戻したという奇跡の話を紹介。また、医学を学びたいとやってきた門弟のために、一緒に医学を勉強した萬里が書いた「医学啓蒙」や野々瀬武蔵が書いた「傷寒論新註巻七」などを見ることが出来る。
 第3部は「疫病神への信仰」として、八津島神社に合祀されている朝廷に対する反乱で非業の死を遂げた奈良時代の貴族・藤原広嗣の怨霊を鎮めるために建立された「鏡宮」は、後世になると疫病神としてあつく信仰されたと伝えられている。さらに、コレラ封じの神として「清正公信仰」があり、加藤清正木造を展示。コレラは当時「虎烈拉」と書かれており、朝鮮出兵で清正が虎退治をしたという話をもとにコレラを退治してほしいという思いが込められているものと思われる。
 第4府は「龍虎圓~日出藩木下家に伝わる漢方薬~」。豊臣家ゆかりの秘薬「龍虎圓」は明治時代まで使われており、当時の広告や実施に使用した薬籠、包み紙などが飾られている。
 記念館は午前9時から午後5時までで、月曜日は休館。問い合わせは電話72・6100へ。

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