別府商工会議所は3日、2020年10月から12月の景況調査を発表した。今回で29回目の調査。
今回は、新型コロナウイルス感染症が鎮静化せず、昨年深秋から第三波が日本列島を襲っている。政府は日本経済の回復を期待して、トラベルやイートなどのGOTOキャンペーンを展開してきた。しかし、今年になって東京都を含む10都府県に非常事態宣言第2弾を発出。反動として巣ごもり需要は堅調に推移しているが、総需要の底上げには至っていない。第3四半期に上昇傾向を示したGDPも第4四半期に強いブレーキがかかり始めた。別府商工会議所としては、関係機関と連携を密とし、感染拡大防止徹底を第一に、引き続き支援策の周知徹底や相談対応など、コロナ禍に苦しむ個社への支援を強化していく。
市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=コロナ禍のもとで超低空飛行が続いている。今回は総合でDI値(増加・好転などの回答割合から減少・悪化などの回答割合を引いた値)が規定値より48ポイント下回った。前回調査は63ポイント下回っており、15ポイント改善された。しかし、前回の来期見通しが37ポイント下回ると予想していたことを考慮すると、11ポイント悪化したという見方も出来る。
▽売上単価=業種別では建設業20・0、宿泊業40・0と2業種がプラスだったが、来期見通しではともにマイナスになると予想している。その一方で、医療・福祉の「来期見通し」は10・0を予想。他のDI指標の実績値などを考慮すると、公的制度が組み込まれている医療・福祉の堅調がうかがえる。
▽資金繰り=徐々に苦しくなってきているのではないかと危惧される。総合の前回は規定値より25・0ポイント下回っていたが、今回は31・0ポイント減と6ポイントの悪化となった。来期見通しは34・0減と今期実績比で3ポイント悪化する見通し。コロナ禍での業績回復に不安感が望めず、それが資金繰りに悪影響を及ぼすと考えている経営者が多いと思われる。
▽借入難度=総合は規定値より8・0減、もの造り関連は5・0減、商業・サービス関連8・8減とDI値のマイナスは一桁だった。業種別では建設業が0・0だったが、他はすべてマイナスだった。今回は悪化へ傾斜し始めたように感じられる。なお、マイナス値が一桁という事実を踏まえると、直ちに借り入れが出来なくなるという事態に陥る可能性は低いと考えられる。
▽収益状況(経常利益)=総合は46・0減と前回の49・0減とほぼ同じ結果となっている。もの造り関連が35・0減と前回よりも15ポイントの改善となった。その一方で、商業・サービス関連は前回と同じ48・0減となった。
▽雇用人員=総合、もの造り関連、商業・サービス関連の括りでは、DI値はマイナスで前回調査とほぼ同じ水準となった。業種別では卸売業が10・0と唯一のプラスにあり、また「来期見通し」も20・0を予想している。卸売業では人余り感が出始めている。宿泊業も前回、今回とマイナスだったが、「来期見通し」は30・0と人員過剰感が漂ってきている。
▽自社の業況判断=もの造り関連は35・0減と大きなマイナスであるが、前回調査から15ポイントの改善を記録した。商業・サービス関連は52・5と前回とほぼ同じ結果となった。その理由の1つに、宿泊業(0・0)以外の4業種が55・0減超の実績となったことが上げられる。なお宿泊業も「来期見通し」は80・0減と大きく悪化すると予想している。