別府市と市旅館ホテル組合連合会、九大都市研修センター

温泉の効果を科学的に証明しようと包括連携協定を結んだ
西田会長、長野市長、馬奈木所長(左から)

 温泉の効果を化学的に実証して「免疫力日本一宣言」を目指そうと、別府市と別府市旅館ホテル組合連合会(西田陽一会長)、九州大学都市研修センター(馬奈木駿介センター長、福岡市)は4月30日午後2時、市役所で包括連携協定の締結式を行った。
 これまで温泉は経験的に「健康に良い」とされ、温泉が豊富な別府市では日頃からの入浴や湯治なども盛んに行われ、観光にも活用されている。これまで、別府市は「別府ONSENアカデミア」を行う中で、温泉と健康について、医学的、化学的に証明する取り組みを行ってきた。今回、馬奈木所長が研究する腸内細菌のゲノム解析を活用して、別府市内の旅館ホテルに協力してもらい、温泉を利用する前と利用した後の腸内細菌の状況で温泉が病気等にどう影響するのか、数値化。温泉が有する免疫力を高める効果を最先端医療で化学的に証明する。
 また、抗がん剤治療における温泉の効果を検証し、長期療養地のイメージを再構築。予防医学及び健康増進に資する取り組みで、健康回復を支援。温泉を活用した健康・医療分野における組織や分野を越えた多様な連携を推進し、療養を行いながらのワーケーションの支援、食による健康づくりの支援などを行う。
 協定締結後、西田会長が「別府は世界屈指の温泉文化があり、自然にも恵まれています。温泉と医療が連携して、健康づくりと癒やしの効果を追求することで、別府観光の新しいスタイルを築きあげていきたい。この連携が希望と光になると思う」。
 馬奈木所長は「5軒ほどの旅館ホテルにすでに手を挙げてもらっています。事前に腸内細菌を調べ、体の特性を知り、温泉に入ってもらう。どれくらい入ればどのような効果が出るのか数値で表す。これまでのアンケート調査ではなく、ゲノム解析により多様な効果が分かるようになる。継続性が大事。別府八湯と呼ばれるように、温泉の成分も違うし、個人差もあるので、その当たりも調査できると思う。この効果が一番高いを思われる別府でやることに意義がある。世界で初めての取り組みになる」。
 長野恭紘別府市長は「別府としての理想の姿がそこにあると思う。将来に向けて、素晴らしいものを提供できる市になると信じている。温泉のエビデンスがキーワード。画期的な取り組みで、これを全国に広げて世界中の人が幸せになれる、温泉はすごいと言ってもらえるような観光を作っていきたい」とそれぞれ話した。