船中にニシキヘビ逃走

昭和43年当時を思い出しながら話す金子さん

 横浜のニシキヘビ逃走の報道を見た市内在住の元船乗り、金子勇次さん(71)が、自身が体験したエピソードを語った。
 金子さんは16歳から関西汽船に務めていた。19歳のとき、給仕係として「ひまらや丸」に乗船していたとき、北米から日本の動物園に運んでいた船底の倉庫に網目状の檻で囲まれていた体長3~4㍍のニシキヘビが「脱走」した。
 当時は1時間に1回、見回りをしており、船員が昼間にニシキヘビの脱走に気づいた。船内には35人の船員がおり、その目をかいくぐって、ニシキヘビは船内を自由に動き回ったという。
 船室から出た船員の一人が、廊下をニョロニョロと動くニシキヘビを発見。普段は船室から廊下につながるドアを開けたままにしていたため、船員の「ニシキヘビがおる」との叫び声を聞いたほかの船員たちは慌ててドアを閉めたという。
 無線で「ヘビが船内を逃走中。捕獲頼む」と本社に連絡。現海上保安庁に連絡が行ったがヘリなどの都合上、日本海に入ってからの対応となった。一昼夜かけて、日本海域に入ったため、ヘリを使った捕獲作戦を開始。船員が怖がりながらも、ニシキヘビを甲板に追い込んだ。高度を下げたヘリから、専門家が麻酔銃を打ち気絶させた。ヘビは船員数人で船底の倉庫にある檻まで運んだ。2~3時間後、日本の港に着いたため、ヘビは運ばれていったという。
 金子さんは「ニシキヘビ逃走のニュースを聞いて、思い出した。船は逃げ場が無くて怖かった。ニシキヘビが捕獲されたときは、ほっとした。横浜のニシキヘビも早く捕まってくれれば」と話した。