別府八湯温泉道が創設20周年迎える

温泉を巡って名人を目指す
「別府八湯温泉道」が創設20周年を迎えた

 別府八湯温泉道が今年3月で創設20周年を迎え、実行委員会と別府温泉地球博物館はこのほど、記念講演会をリモートで行い、その様子をYouTubeで公開した。
 別府には、浜脇、別府、観海寺、堀田、明礬、鉄輪、柴石、亀川の「別府八湯」があり、豊富な源泉と多様な泉質を誇る。別府八湯温泉道は、無類の温泉好きが湯の真理を求め、別府の湯を味わい尽くすために、厳しくも愉快な入湯修行(スタンプラリー)として2001年にスタートした。
 現在は約150施設が温泉道に参加しており、そのうちの88湯を巡ってスタンプを集めることで「名人」の称号を得られる。スタンプ2個で「初級」としてハンカチから始まり、88個で黒いタオルで「名人」を獲得。延べ9702人が名人になっている。
 また、11巡で「永世名人」、22巡で「名誉名人」とまだまだ別府温泉を楽しんでいる人達がいて、88巡して「泉聖」になった強者も4人いる。スマートフォンのGPS機能を使ってレーダー画面で市内の温泉を探すことができる「温泉ハンター」も登場し、便利になっている。
 講演会は、鶴田浩一郎別府八湯温泉道実行委員長、東海大学海洋学部教授で別府温泉地球博物館の斉藤雅樹理事、温泉家で同博物館の北出恭子研究員がパネリストとして参加。「別府八湯温泉道の昨日・今日・明日」がテーマ。
 鶴田委員長が温泉道を始めたきっかけについて「別府はバブルが崩壊してから、96年ぐらいまで低迷していた時代があった。地元を見直そうと平成8年8月8日8時8分『別府八湯独立宣言』というのを勝手にやった。温泉をどう見つめなおすか。温泉マニアの人が沢山出てきて、別府八湯メーリングリストでいろんなアイデアが出てきた」と話した。
 それまで、宿泊客しか入れなかった旅館ホテルの温泉を「風呂の日」として、入れるようにし、現在は約50軒ほどが参加しているという。他にも共同温泉など多くが登録。スタート時は、登録施設の対応がまちまちで「トラブルを解消するのに10年ぐらいかかった」と言う。
 斉藤教授は「ちょうど1997年に別府に引っ越して、温泉にはまり、全国の温泉通とのやりとりから、別府がいかにすごいところかということを感じていった。最初、ハンコがあるのは88カ所だったのですが、東京の方から、最後の88カ所目に行ったら休みで87個しか集められなかったという手紙をもらい、数を増やして88カ所を選べるようにした」と振り返り、当時の最初の企画書も披露。経営の厳しい共同温泉があることについて「名人の熱意が共同温泉を存続させるし、旅館の門戸を開かせる。その情熱がもっと表に出る仕組みが必要」などと話した。
 講演会の様子はhttps://www.youtube.com/watch?v=b6cfPE-gF7sで見ることが出来る。