別府商工会議所は26日、1月から3月の企業景況調査を発表した。今回で30回目の調査。
27回目(令和2年6月)の調査から、それ以前とは様変わりの調査結果が続いている。経営者として最大の関心ごとの1つの売上高をみると、急速に冷え込んできたことが分かる。その背景を探ると、新型コロナウイルス感染症の蔓延とGoToキャンペーンなどの施策が感染拡大に翻弄され、停止するなどの不十分な状況であることの影響が大きい。昨年6月の調査時点ではコロナ感染の第1波の影響を受けていた。未知のウイルスとの闘いであり、ここまでの長期化は想定していなかった。その後、政府が打ち出した市場カンフル政策により期待値は一時的に上がったが、収束の気配を見せないコロナ禍で売上高DI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は大きなマイナス値が改善されることなく、現在に至っている。別府商工会議所としては結果を踏まえて、関係機関と連携を密とし、感染拡大防止徹底を第一に、引き続き支援策の周知徹底や相談対応など、長引くコロナ禍に苦しむ個社への支援を強化していく。
市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=総合では49減であり、前回調査の48減と同程度。来期見通しは24減となっており、重趙な回復を期待していることがうかがえる。業種別では建設業20・0、医療・福祉10・0となっているほかは、残り5業種はマイナスとなっている。卸売業と宿泊業はともに80・0減と厳冬の状況下にある。来期見通しは、宿泊業は70・0減である一方、次にマイナス値が大きい製造業は40・0減、小売業は35・0減であり、新型コロナウイルスの影響を宿泊業は強く影響を受けている。
▽売上単価=全体的に前回調査よりも若干悪化の傾向が見られる。建設業が前回同様にプラスとなった。売上高では厳冬状態にある宿泊業も20・0減と単価引き上げに関しては経営努力の成果が表れていると言えなくはない。来期見通しは、建設業、製造業のもの造り関連が下方予測をしているが、サービス業関連は若干改善するという見通しがあることに注目したい。
▽資金繰り=もの造り関連は前回の30・0減から今回5・0減と大きく改善された。一方、卸小売業関連とサービス業関連は、前回調査時よりも改善された兆しが見られない。なお、改善傾向にあったもの造り関連も来期は楽観できない予想を立てている。
▽借入難度=総合では7・0減と前回とほぼ同一の水準となっている。業種別では、前回は建設業がゼロであったものの、他の6業種はすべてマイナスだった。今回調査のマイナスは製造業、飲食・サービス業、宿泊業の3業種であり、他の4業種はゼロとなっている。来期は、コロナの影響が出てくると予想しており、全体的に若干の悪化の傾向を示している。
▽収益状況(経常利益)=総合は前回よりわずかに改善しているものの、卸・小売業関連とサービス業関連がともに50・0減と大きく足を引っ張っている状況。2つのカテゴリーでは、医療・福祉10・0減、小売業35・0減であるほかは、他の3業種は60・0減以上と極めて厳しい現実が浮かび上がってくる。
▽雇用人員=全体では過剰感よりも不足感の方が強くなっている。プラス値だったのは卸売業と宿泊業であったが、来期はともにマイナス値を予想していることから、人員数は確保しても人員品質に問題がありそう。
▽自社の業況判断=全体的に弱含みだが改善の傾向にありそう。総合は前回は49・0減で、その時点の来期予想は56・0減となっていた。今回実勢は42・0減であり、今回の来期予想は27・0減と大きな改善を予想している。その中でも、製造業と宿泊業の来期は際立った悪化予想であり、一筋の光明も見えない状況下に置かれている。