鉄輪豚まん本舗をヤマナミ麺芸社が継承

地元で愛され続けた味を事業継承した後藤代表(中央左)と吉岩社長(同右)
新たにヤマナミ麺芸社が引き継ぐことになった「鉄輪豚まん本舗」

 鉄輪の名物として人気のある鉄輪豚まん本舗(後藤美鈴代表)は、大分みらい信用金庫の仲介で、大分市の株式会社ヤマナミ麺芸社(吉岩拓弥社長)に事業継承を行うことになり、4日午後1時、大分みらい信用金庫鉄輪支店で調印式を行った。
 「鉄輪豚まん」は、オンパクをきっかけに、地獄蒸しで作れるものをと考案された。イベント時などに提供してきたが、参加してくれた人が「これは、どこで買えるの」と聞いたことがきっかけで、旅館「入船荘」の女将の後藤さんが事業化し、気軽に食べられる地域グルメとして人気となった。しかし、一緒にやってきた仲間が続けることが難しくなったり、従業員の確保などの問題があり、3年ほど前から「廃業」について考えてきたという。その後、みらい信金に相談をしたところ、地域の食文化を維持するため、継承してくれる人がいないかと探していた。
 ヤマナミ麺芸社の吉岩社長は別府市出身で、子どもの頃はよく鉄輪で遊んでいた。地域に親しまれた豚まん本舗がなくなってしまうことを残念に思い、事業を引き継ぐことにした。クロスダM&Aセンター株式会社が専門的な協力を行った。
 調印式で、岩尾利弘みらい信金常務理事が「味を引き継ぐだけでなく、さらに発展させてくれると思います。次の新しい世代に引き継がれていくことをうれしく思います」とあいさつ。
 調印を終えた後藤さんは「あしかけ20年やってきました。本業は旅館で、町歩きの中から生まれた。商売や事業という感覚がなくやってきましたが、一緒に立ち上げてくれた仲間が年齢を重ね、次にどうするか。廃業しかないと思っていましたが、屋号とレシピを引き継いでくれる人がいればと思い、相談しました。コロナとか色々大変だと思いますが、安心して引き継げる」とホッとした様子だった。
 思いを引き継ぐ吉岩社長は「引き継がせてくれて、ありがとうございます。鉄輪の地域貢献への思いをしっかりと引継ぎ、生まれ育った地域で貢献できるようにしていきたい。引き継いで良かったと言ってもらえるように頑張りたい」と話した。現在の場所で経営を続けながら、ヤマナミ麺芸社が持つ販売網等を活用し全国に広めていきたいとの考えを示した。