別府鶴見丘高校で「未来創世塾」

生徒に九州大学について述べる森田浩介さん

 大分県立別府鶴見丘高校(石井利治校長)は令和3年度進路講演会「鶴見丘未来創世塾」を21日午後2時、同校体育館で開催し、1年生239人、2年生236人、3年生27人(希望者)、鶴嶺会会員13人の計515人が出席した。
 各界で活躍する同窓会の先輩に、今までの経験や今後の展望についての講話を実施し、生徒の自己表現の一助とすることが目的。
 講師は、113番目のの元素「ニホニウム」を発見、命名した九州大学大学院理学研究院物理学部門教授で理化学研究所仁科加速器科学研究センター超重元素研究開発部部長の森田浩介さん。森田さんは、27回生。
 石井校長が「森田さんは両親が転勤族で、中学校2年生のときに別府に来ました。中部中学校卒業後、鶴見丘高校に入学。高校2年生のとき、物理学に没頭したと聞いています。楽しいエピソード、新しい元素の発見までの苦労、面白さを聞かせてもらえると思います。これから、自分がやりたいことなどにつなげていって下さい」とあいさつ。
 森田さんが「新元素の探索」をテーマに講演した。
 「113番元素のニホニウムを誕生させるため、亜鉛とビスマスの原子核を衝突させてきた。その際、113番元素が生まれる確率は400兆分の3で、寿命は千分の2秒。1つ目と2つ目の113番元素は2004、5年、実験開始後まもなく合成された。その後は7年も成果が出なかった。しかし、自分たちの設定した条件を信じて実験を続け、12年8月に3つ目の合成を確認。そのことがゆるぎないものとなり、命名権の獲得に至った」と述べた。
 今は119番元素を探索していると話し「ニホニウムが発見できたことは、世界に誇れる最先端の機械があり、じっくり取り組める体制で研究ができたことはもちろん、研究者の粘り、忍耐力、努力があった」と語った。
 生徒代表の竹中絢音さん(2年)が「私が入学前に森田教授の講演会があったと聞き、自分が在学中に一度は聞いてみたいと思っていたので、このような場が設けられ嬉しく思います。講演を聞き、元素発見の歴史を含めニホニウムの発見について、詳しくお話を聞かせていただきました」と謝辞を述べた。
 最後に大鹿一紗さん(2年)が花束を贈呈して、講演を締めくくった。