杵築市は、令和3年度財政状況等市民説明会で令和2年度の財政状況を報告を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開催を延期している。開催は行いたい意向だが、年度を超える可能性もあるため、説明会用の資料をホームページなどで公開、意見や質問を受け付けている。
普通会計(一般会計とケーブルテレビ事業特別会計)の歳入額は272億9606万円と大幅に増額。新型コロナ対策に伴う国からの交付金や補助金が増額になったことなどが主な要因で、ふるさと杵築応援寄附金も大幅に増えた。
一方で、歳出も267億4022万円と大幅に増額した。コロナ対策の経費や借入金の返済分の公債を約25億6035万円を繰上償還を行ったことが大きい。財政健全化条例を順守して、普通建設事業の縮減や職員の採用抑制による人件費の縮減など、歳出の抑制に努めた。
その結果、実質単年度収支は19億8815万円の黒字になった。また、平成30年度、令和元年度の2年連続で100%を超えていた経常収支比率は令和元年度から6・5ポイント改善し、94・4%となった。
杵築市は、財政健全化のために、未来戦略推進プランを策定し、令和6年度の5年間で▽最適な人員配置と業務効率化▽市債(借金)の早期縮減▽事務事業の適正化▽ふるさと納税のさらなる推進▽市税徴収率の向上ーに取り組んでいる。
定年退職者の新採用の停止で職員を15人削減。ペーパーレス会議やウェブ会議などICTを活用した業務の効率化、職員の意識改革を進めた。令和3年度は、議員報酬10%、市長の給料など30%、副市長・教育長の給料等20%、職員の給料平均5%をそれぞれカットしている。職員給料は、若手を除いて管理職等で実施している。
市債の早期縮減のために、市債発行限度額を37・5億円以内とし、市債残高を200億円以下に目標を決め、繰上償還を思い切って行ったため、令和2年度末の市債は約227億円と目標額に近づいている。
さらに、財政調整基金は、毎年、標準財政規模の20%に相当する20億円以上を確保することを掲げており、令和2年度は約21億円を確保した。
永松悟杵築市長は「プランは毎年見直し、実行性の高いものにしていく。2年間できちんとした体制が出来たと思う。市民の皆さんの協力もあり、職員も事業見直しなどで工夫し、令和4年度の当初予算は、財政調整基金を取り崩さずに編成できた。これからも財政健全化条例に沿ってやっていきたい」と話した。