障害者福祉施設への虐待防止調査

 別府市は、令和3年度に実施した障害者福祉施設の従事者による虐待防止に係る調査結果を発表した。
 就労移行支援6施設、就労継続支援7施設、就労継続支援B型40施設の計53施設にアンケートを実施。全施設から回答があった。
 「障がい者の虐待防止に関する指針や対応マニュアルを整備しているか」との質問には、49施設が「整備している」、3施設が「整備を予定している」、1施設が「対応を検討している」と答え、全体の92%がすでに整備が行われている。
 身体拘束廃止にかかる指針及び対応マニュアルについて、41施設が「整備している」と答え、令和2年度と比べて9・3%伸びた。「整備していない」と答えた20・8%のうち13・2%は整備を予定しており、整備予定がない施設については「身体拘束が必要な対象利用者がいない」「身体拘束をする必要がこれまでなかった」などの回答だった。
 虐待防止と身体拘束防止にかかる委員会を「開催している」と答えたのは37・7%。62・3%は、「職員数が少ないため、必要に応じて日々の会議で対応している」「苦情問い合わせ窓口で対応している」などの回答があった。
 「開催している」と答えた事業所の中で、委員の構成メンバーに第3者委員がいるかとの質問には「含んでいる」と答えたのは、30%の6施設にとどまった。
 権利擁護にかかる研修会を年に1回以上行っているかについて、身体拘束廃止については33事業所が「実施」、それ以外の虐待防止研修会は44事業所が「実施」と答えた。
 虐待防止及び対応に関する体制の整備での課題や困難について「虐待にあたるかどうかの判断」との答えが一番多く、15件。障がいに関する認識・知識が9件、本人・家族への説明や対応6件、職員のストレス・組織風土の改善5件などとなっている。
 虐待防止のため、運営基準について、令和4年度から従業者への研修実施が努力義務だったのが義務化され、新たに虐待防止のための対策を検討する委員会として、虐待防止委員会を設置するとともに検討結果を従業者に周知徹底することが義務化された。また、虐待防止のための責任者の設置も努力義務から義務化された。運営基準を満たさない場合は、基本報酬が減算されることになる。これらの改定によって、研修や委員会設置などが進む。
 別府市では、今後も施設訪問などを通じて、研修の実施やマニュアルの策定、委員会設置などについて啓発を進め、虐待等防止に努めていくとしている。