別府市が地域公共交通計画案を策定

 別府市は、地域公共交通計画案のパブリックコメントを20日まで募集している。
 公共交通には、鉄道やフェリー、高速バス、路線バス、タクシーなど様々な機関があるが、人口減少やマイカーの普及などによる利用者の減少に加え、運転士不足、車両老朽化など民間事業者が収益を確保できる形で公共交通を担う構造が難しくなり、サービス縮小に拍車をかけているという。確保・維持が難しくなっている路線については、国や県、市の財源で賄われるなど厳しい状況が続いている。
 別府市では、中山間部では、自宅からバス乗り場までの距離が離れている交通弱者に対して、2016年に東山地区、2019年には大所・小坂地区でオンデマンドタクシーを導入するなど、公共交通ネットワークの確保・維持に取り組んでいる。
 利用者や市民などの行動パターンやニーズを適切に把握するため、調査をしっかりと行い、分析をして計画を策定した。計画期間は、令和4年度から8年度までの5カ年。
 目指す将来像は「誰もが便利で快適に移動できる持続可能な公共交通の実現」で、「多様な関係者との連携強化を通じた持続可能な公共交通サービスの構築」を基本的な方針として示している。
 南部、西部、中部、朝日・大平山、北部にエリアを分けて、それぞれの地域での需要について調査を行った。バス、電車ともに朝夕の通勤・通学時の利用者は多いが、昼間の利用者の確保が課題といえる。
 観光客は、マイカーやレンタカーを利用する人が増えており、コロナ禍以降は特に顕著になっていることが考えられる。一方で、近畿や中部、関東、北海道など遠くから訪れる観光客は、レンタカーの利用が多いものの、鉄道や路線バスといった公共交通の利用も多く、ニーズは高いことがうかがえる。海外からの観光客も公共交通を利用するケースがあり、利用定着を図ることが課題。
 計画では、▽利用しやすく持続可能な市内ネットワークの最適化=市内バス路線・タクシーの輸送人員の回復。地域コミュニティ交通の持続性の向上▽市民・来訪者が利用しやすい利用環境の充実=見える形での交通結節機能の強化、主要な拠点の利用しやすい環境の充実▽多様な移動ニーズに対応した基幹交通の持続・活性化=鉄道駅、フェリーの輸送人員の回復など▽多様な関係者との連携を通じた利用促進・情報提供の充実=使う人の視点から情報を入手しやすい環境の充実、公共交通利用率の向上。連携する関係者の拡大ーの4つを目標に掲げ、成果指標を設定する。
 さらに、公共交通を維持するためには、利用する人が増えることが必須となるため、市民に向けて各目標ごとに協力を呼びかけている。
 パブリックコメント終了後は、市公共交通活性化協議会に最終案を提示し、決定することにしている。