新体操元日本代表の田中琴乃さん

ボールを使って子どもたちに新体操の楽しさを教える田中さん(右)

 新体操の元日本代表でオリンピックの北京とロンドンの2大会に出場した、別府市出身の田中琴乃さん(30)が21日午前10時40分、別府市立亀川小学校を訪れ、講演を行った。6年生74人が参加。
 田中さんはリボンをくるくる回す演技をしながら体育に登場。子どもたちからは「オー!」と歓声が上がった。
 はじめに、ボールを使って、新体操を体験。「新体操に大切なのは、柔軟とキレイな姿勢」と説明。2人1組でボールを取り合うゲームや、1人ずつボールを持って腕や背中で転がしてキャッチする技などを一緒に練習した。慣れない動きに子どもたちは悪戦苦闘しながらも、楽しんでいた。
 引き続き「オリンピックという夢の実現」と題して講話。「5歳の時に、内股、ぽっちゃり、人見知りを改善しようと始めたのが、新体操。小学生の頃に校長先生からオリンピックの事を『スポーツのお祭り』と教えてもらって、誰でも行けると思ったので、『私、オリンピックに出る』と言うようになりました。バカにする人もいましたが、言うだけはタダ。それまでメダルを取ったことはなかったのですが、小学生最後の大会でみんながミスをして、ノーミスだった私は初優勝した。メダルはキラキラしていて重くて、自信につながり、練習が楽しくてしょうがなかった」と振り返った。
 「ライバルは昨日の自分」と練習を積み重ね、中学3年生で日本一になると、日本代表の「フェアリージャパン」に誘われ、上京。しかし、慣れない生活や代表を獲得できるかという不安で食事がとれなくなり、ケガにも襲われた。そんな中、家族に支えられて復活を果たし、2度、五輪に団体代表メンバーとして出場した。「それまでの私は、五輪に出ることが目標だったけど、北京五輪では10位に終わり、何になって何を成し遂げるのかを考えることが大切だと気づいた」という。ロンドン五輪では、キャプテンとしてチームを引っ張り、7位に入賞した。
 話を聴いた井上晴加さん(12)は「(ボールの扱いは)意外と難しかった。長いリボンを上手に扱っていて、すごいなと思いました。今後は、新体操をテレビとかで見てみたいと思いました」と話した。
 田中さんは同日午後から、市立春木川小学校で6年生を対象に講演を行った。また、7月にも鶴見小学校で講演を行う予定にしている。