別府商工会議所はこのほど、4月から6月の企業景況調査を発表した。今回で35回目。
今回は、令和5年10月から開始されるインボイス制度に関し、認知度と登録可能性について質問した。認知度では「知っている」と「ある程度知っている」と答えた回答率は68%であり、「知らない」は回答率11%だった。それぞれの回答率の評価は税務署など関係機関に任せるとして、令和5年3月末が登録の目安となっていることを考えると認知度は高くないという評価もできる。登録を「する」と答えた回答は42%、「未定」は44%、「しない」は14%という結果が得られた。総合の売上高DI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は大きな改善を見せ、収益状況DIや業況判断DIもわずかながら改善の兆しがみられた。一方で売上単価DI、資金繰りDI、借入難度DI、雇用人員DIなどは停滞もしくは悪化の傾向を示している。
市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=総合のDIは19ポイント増加し、マイナス1・0ポイントとなった。小売業関連がマイナス55・0、建設業がマイナス30・0と大きなマイナスを計上した一方で、宿泊業は50・0、卸売業は25・0、飲食・サービス業は25・0と大きなプラスとなり、業種間で明暗が大きく分かれた。
▽売上単価=もの造り関連が25・0(前期より10ポイント増)、サービス業関連が2・5(前期より10ポイント増)と改善の歩みが速まっている。一方で、卸売業関連はマイナス7・5と前期の12・5より20%も悪化したことが気がかり。卸売業は前回の40・0から20ポイント減の20・0となったがプラス値を維持している。小売業が前回のマイナス15・0からマイナス35・0と悪化している。
▽資金繰り=総じて資金繰りは厳しい状態。業種別では宿泊業のゼロを除き、他6業種はすべてマイナス。資金繰りでは低空飛行が継続するとの予想が多勢を占めている。
▽借入難度=総合は前回のマイナス6・0かた8ポイント悪化のマイナス14・0となったが、もの造り関連は前回と同じ5・0、他の2つの卸小売業とサービス業よりも良い状況にある。来期予想もゼロとかろうじてマイナス転落を逃れている。
▽収益状況(経常利益)=総合はマイナス21・0(前期マイナス35・0)で来期見通しもマイナス21・0となっていることから、悪い中でも改善傾向にあることがみて取れる。その中でも宿泊業が10・0とプラスになっていることが注目されるが、来期見通しはマイナス10・0と悪化を予想するのはコロナの影響を考えてのこと。小売業はマイナス60・0から今回はマイナス45・0と改善しているが、全7業種で最も悪い値。来期もマイナス35・0と再開を脱しきれない。
▽雇用人員=プラスは過剰傾向をマイナスは不足傾向を示す指標。もの造り関連は前回より5ポイント増加したがマイナス35・0と人員不足が解消される気配がみられず、来期は再びマイナス40・0と悪化を予想。7業種では医療・福祉業が10・0と前回と同じ値を示した。来期見通しは、建設業と小売業がともにマイナス50・0と今期よりもさらに不足感が強まると予想している。
▽寺社の業況判断=サービス業関連が前回のマイナス25・0から今回はゼロと大きく改善している。来期見通しもマイナス2・5と、もの造り関連のマイナス25・0、卸・小売業関連のマイナス37・5よりかなり良い数値となっている。業種別では小売業マイナス65・0、建設業マイナス50・0、医療・福祉業マイナス40・0とこの3業種が際立って悪い。