第59回くらしの中の竹工芸展

MPP賞を授与される安藤千津子さん(右)
安藤さんが作製した作品「渚」

 竹・ルネサンス実行委員会(岩尾一郎会長)は大分市在住の安藤千津子さん(66)に3日午後1時30分、別府市竹細工伝統産業会館で第59回くらしの中の竹工芸展「MPP賞」を授与した。
 MPP(Most Popular Product)賞は、同展会期中(1月31日から2月19日)に来場者が入賞作品以外で気に入った作品に投票し、最も人気のある作品に贈られる。平成30年度から新設し、今年度が5回目。
 賞に選ばれた作品「渚」は、544票中38票を獲得した。直径約30㌢、高さ約7㌢の盛りかご。制作期間は約3カ月。
 安藤さんは、神奈川県生まれ。2016年に大分市に移住。17年5月に大分市坂ノ市の公民館で月1回、竹工芸の講座に参加し、その後、別府竹細工の緻密な技術を志す。19年から大分市坂ノ市で竹工芸家などに学びながら製作を行っている。現在は、アート作品より日常的に使えるものを作っており、自宅にはカゴや額縁などを使っているという。
 授賞式では、安藤さんに授与した岩尾会長が「来館者が一番気に入った作品という事では、ひょっとすると一番価値があるかもしれない賞です」と述べた。
 表彰終了後、安藤さんの作品に投票した人の中から1人、竹製品が当たる抽選を行い、安藤さんが抽選ボックスから1枚の紙を選び当選者が決定した。
 式終了後、取材に対して安藤さんは「初めて出展して、見ていただいた皆さんに感謝申し上げたい。本当に嬉しい。制作中は、考えながら編んでいるので、編んでは解きを繰り返しました。下の部分の波を表現するのに苦労しました。審査員の方に『デザインとのバランスを考えて』と言われたので確かにそうだと思いました。これからは、人に見てもらって触ってもらって使ってもらえる物を作っていきたいです」と話した。
 また竹の魅力を問われると「青竹の匂いとかが大好きで、品物を見ていくうちに白竹の良さが分かってきて、自分なりに使って編んでいきたいと思いました」と答えた。