木造の価値考えチャレンジ

グリーンコモンズの中央部分に木材を使って
作られた階段に参加者が座ってシンポジウム

 立命館アジア太平洋大学(出口治明学長、APU)は4月29日午後1時から、新しい教室棟のグリーンコモンズで完成記念シンポジウム「今なぜ木造校舎?」を行った。
 グリーンコモンズは、鉄骨と木造を使った地上3階建て。大分県との協定に基づいて、中央の木造建築部分をほぼ大分県産材を使用。大学の木造建築としては、国内最大級となる。一部は、適切な森林管理を国際的に認証する「FSC認証」を取得したもの。
 「森林と木材の利用とその効果から木造校舎の意義を考える」をテーマに、パネルディスカッション形式で実施。林野庁林政部の五味亮・木材利用課建築物木材利用促進官、松尾正信九州林産株式会社林産部長、永井務株式会社竹中工務店大阪本店設計部グループ長、西野文貴株式会社グリーンエルム代表取締役社長、小川拓哉うすきエネルギー株式会社取締役統括部長がパネリスト。
 ファシリテーターを務めた須藤智徳APUサスティナビリティ観光学部教授が「森林には、木材提供だけではなく、二酸化炭素を吸収し、根の間に水をしみこませ、蓄積させたり、水源の管理、野性生物のすみか、洪水防止など様々な面がある」と説明。パネリストがこれまでの取り組みについて1人ひとりプレゼンテーションを行った。
 引き続き、パネルディスカッションを行い、参加者からも質問を受けながら進めた。西野さんは「木は時間が楽しめる。普通の建物では、劣化や風化となるが、木造の良さはビンテージになるということ。風合いが出て、色合いが出て、ここで学べてよかったと思えると思う」。小川さんは「面白い空間だと思う」。学生から「木造の大型建築物がなかなか広がらないのは何故なのか」と質問を受け、永井さんは「一番大きいのはコストだと思う。経済性やコストを上回る価値を考え、チャレンジすることが大切」などと答えた。
 参加者は木造の大階段に座って話を聴きながら、木の成長や木材として活用されるまでのことについて思いをはせていた。引き続き、内覧会も行われた。