別府警察署は「総合的な災害警備訓練」を2日午前10時から正午まで、明礬と別府警察署近辺の信号交差点の2カ所で実施した。
津波防災の日(5日)に合わせ、関係機関・団体との連携強化と救出・救助技術の向上を図るとともに、地震による災害発生に備えた総合的な警備訓練を実施することが目的。
明礬の(株)安部組の作業場で午前10時から、被災者救助訓練を実施。
地震により倒木を巻き込んだ土砂崩れが発生。目撃者の情報によると、付近を通行中の男性1人が土砂に巻き込まれたのを現認。男性は帽子着用、バッグ所持でスマホを見ながら歩いていた―と想定。
大分県建設業協会別府支部員と大分県警察本部警備部機動隊員2人が見守る中、別府警察署員24人、別府市消防本部員10人が訓練を実施。
安部組の社員が重機を使い、土砂崩れの現場から見える範囲の倒木を撤去した。その後、別府署員と別府市消防本部員が4班に分かれて、2班ずつ土砂崩れの現場をスコップで土砂などを排除した。「今助けますよ」「大丈夫ですよ」「もう少しですよ」と被災者に声を掛けながら排除し、数分毎に班を変えて行った。要救助者を発見すると、身体の周りの土を丁寧に排除し救出。市消防本部員4人がタンカで安全な場所に移動させた。
救助訓練終了後、機動隊員がスコップの使い方や土砂を排出する際のコツなどを指導した。続いて、消防本部員が参加者に土嚢の作り方・搬送・設置の手順などをレクチャーした。
別府警察署近辺の信号交差点で午前11時15分、別府署地域課員と交通課員の計8人が災害が発生し信号が滅灯したと想定した手信号訓練を実施。
交差点中央に警察官が立ち、信号滅灯後、手信号と警笛を使って車を誘導。混乱はなく、ドライバーは警察官の指示に従っていた。
明礬の作業場での訓練終了後、後藤久典別府警察署長が「訓練でできないことは本番でもできません。災害が発生すれば、ここにいる皆さんが真っ先に現場に駆けつけることになります。日ごろから今日のような訓練を行い、練度を重ねることで、本番で力を発揮することになります」。
井元隆文別府消防署長は「ほとんどの現場は、小型重機を投入するルートも崩壊している傾向が強い。本日、一緒に汗を流した絆を基に、自然がもたらす脅威に立ち向かいたいと考えます」とそれぞれ講評した。
作業場での指揮官を務めた野仲優樹別府警察署警備課長は「災害が激震化、頻発化する傾向にあります。そうした災害に対する準備をすることは重要なことだと考えています。警察としましては、大地震などが発生した際、被災地でスムーズに救出・救助活動を行うため、継続的に部隊の強化を図っていきたいと考えております」。
手信号訓練を指揮した正成祐治別府署交通課長は「警察官の訓練ですが、メーンは市民が実際の災害現場ではこのようになるということを知ってもらうことが一番。万が一、災害が発生したときは適切な交通整理をし、二次的な事故防止に務めたい。有事の際、有効な信号(手信号)は警察官のみとなります」とそれぞれ話した。