別府市温泉マネジメント計画策定検討委員会(斉藤雅樹委員長、16人)は29日正午、長野恭紘別府市長に「別府市温泉マネジメント計画」を提出した。
豊富な温泉に恵まれた別府市だが、近年では湯量や温度の低下、掘削深度の増加などが懸念されており、有効活用をすると同時に、貴重な有限資源である温泉をいかに守り、持続可能で世界に誇る別府を次世代に引き継ぐかについて計画をまとめた。
計画では、基本理念として「日本一の温泉資源と文化を守り、育て、次代に引き継ぐ」とし、▽地域が一体となった資源管理▽持続的に有効活用する▽継承のために行動する、という3つの行動原則を掲げた。
協議の中で、保護・管理の対象とする温泉資源を「地下にある状態の温泉(地下資源)」と「地上に湧出した状態の温泉(共同温泉等)」に大きく区分して、整理。現状と課題をあげて、方向性として地下資源はデータの取得や資源保護に関わる取り組みを進め、湧出した温泉の未利用湯については湧出量・使用料に関する調査と適正化の検討を進める。共同温泉等については、担い手不足、利用者の偏り、施設の老朽化などがあり、運営の安定化・適正化を目指す方向性で取り組みをすすめるとしている。
また、「貴重な資源である『温泉』が適切に保護・管理され、泉質の多様性を維持した安定供給が持続可能な環境となっている」将来像を掲げ、ロードマップを作成。各施策について到達点を決め、短期・中期・長期の計画を示している。
斉藤委員長が「元々別府の温泉は豊富だと言われていますが、ムダに使っているのではというところから議論が始まりましたが、委員の中でムダな湯を湧出させないことが大切という話があり、資源保護を重点的に議論しました。よく分かっていない部分も多いのですが、ロードマップをどう実行していくかが大切だと思います。別府の取り組みは、全国の温泉地から注目されています」と述べた。
長野市長は「別府の温泉は、個人所有の泉源が多く、思い思いに権利として成り立ってきた歴史があると思います。みんなで守っていくという意識の共有を図らないといけないと思います。生業としている人もいるので、何からやれるか検討していきたい。別府の生命線。しっかりとやっていきたい」と話した。