第82期名人戦七番勝負第4局別府対局が18、19日に、割烹旅館「もみや」で開催され、豊島将之九段(34)が2日間の激戦の末、19日午後8時49分、95手で藤井聡太名人(21)を破り、勝敗を1勝3負とした。朝日新聞社・毎日新聞社主催、大和証券グループ協力、九州電力・QTnet協力。
両日ともに午前9時から開局。1日目は、豊島九段が3手目に1六歩で一手パスをする形で揺さぶりをかけ、通常、先手からの展開になることが多い「横歩取り」の戦型を後手の藤井名人が取る形となり、厳しい試合が展開された。午後6時半、豊島九段が63分かけて熟考した39手目を封じて、終了。初日から乱戦の様相となった。
2日目も激しい攻め合いとなった。豊島九段の封じ手の7七桂に対して、藤井名人は3三桂。豊島九段は44分の長考で、6五桂と跳ねるなど、攻め合いの一手。藤井名人も100分の長考の末、2五桂で跳ねるなど、桂を跳ね合う、厳しい展開に。夜戦に入ると優劣不明の混戦になったが、豊島九段が3九飛と銀を取った上、角も逃げると再び流れは豊島九段の優勢となり、粘る藤井名人を冷静に押し切って豊島九段が勝利した。
終局後の会見で、豊島九段は「昨日打たれてしっかりした形になってしまったので、もうちょっと良い手を指したかったが、具体的な手が分からなかったという感じでした。夜戦前に失敗したなと思っていて、そんなに見通しが立っていませんでした。(勝ちを確信したのは)最後の方。内容は精査しないと分からないが、5局目に繋がったので良かったと思う。すぐ次があるので、コンディションを整えて、自分なりに精一杯やりたい」と振り返った。
藤井名人は「難しいと思っていたが、進んでみるとこちらの玉形がかなり乱れていて、全く自信がない気がした。気持ちを切り替えて頑張りたい」と話した。
インタビュー終了後、2人で対局を振り返る感想戦が行われ、2人で話をしたり、時折笑顔も見られた。
藤井名人の初防衛をかけた対局は、次局に持ち越され、第5局は26、27の両日、北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで行われる。