別府市南荘園町の社会福祉法人栄光園(江口敏一理事長)は、敷地内に開設した「乳幼児総合支援センター栄光園」の竣工式を30日午前10時、現地で行った。大分県内唯一の乳児院として、地域の子育て支援や里親支援など、地域社会の養育環境を整える多機能化などに力を入れ、専門機関と専門人材の有効活用がされる乳幼児総合支援センターを目指す。
栄光園は、戦後の窮乏と困難のなかにあって、様々な事情で育てられなくなった子どもたちを受け入れる施設として、1950年に「財団法人基督教栄光園」として発足。翌年には児童養護施設、翌々年には乳児院を開設した。1954年に「社会福祉法人栄光園」になった。
2016年に改正児童福祉法、2017年の社会的養育ビジョン、2018年の都道府県養育推進計画などの状況を踏まえ、全国乳児院福祉協議会で検討が重ねられ、それぞれの地域ニーズに合わせて高機能化をベースにセンター化を目指すことになった。栄光園も、検討を重ね、2023年から新たな施設の建設を行い、今年4月には現在の施設に引っ越しをし、運用を開始している。
センターで行う主な事業は▽里親支援=特別養子縁組里親に特化した事業を大分県と一緒に行う▽地域支援=助産師や保健師が親子の様子を見ながら、養育支援や相談支援、家事支援を行う訪問支援や子育て短期支援事業などを実施。また、地域の親子向けの親子教室やプレママ、プレパパ教室、離乳食教室も開催
▽子育て支援=産前産後の子育て支援として、センター独自支援として入所児童の母親が妊婦の場合などは家庭を訪問して妊婦健診の経過を聞き、困りや不安の相談を行うなどする▽入所支援・乳児院機能=全居室を小規模化し、家庭的養育を行う▽居場所支援=併設する児童養護施設と共同で、不登校の子どもたちや保護者が帰宅するまで居場所がない子どもたちを支援する。
竣工式では、第1部で礼拝を尾崎二郎日本基督教団別府不老町教会牧師が執り行った。第2部は式典で、江口理事長が「高機能化、多機能化を目指して、これからもやっていきたい」とあいさつ。工事に携わった株式会社高建築事務所、平倉建設株式会社、これまで支援を続けている有限会社ちはらコーポレーション、別府中央ライオンズクラブ、一般社団法人ぐるーん、安東秀典さんに感謝状を贈った。
来賓の佐藤樹一郎大分県知事は「時代の要請に応じた、機能強化が図られており、子どもたちが心身共に健やかに成長するように願っている」とあいさつ。長野恭紘別府市長、尾形武寿日本財団理事長、平田ルリ子全国乳児福祉協議会長もそれぞれお祝いの言葉を述べた。引き続き、施設内の見学が行われた。