大分県は、「ヤングケアラー」に関する実態調査を行い、結果を公表した。
ヤングケアラーは、病気や障がいのある家族、親族の介護や面倒が忙しく、本来受けるべき教育を受けられなかったり、友達と遊べないなど同世代との人間関係を満足に構築できていなかったり、進学を諦めざるを得ないなどの困難を抱える子どもの事。家族の代わりに働いたり、家事を日常的に行ったりといったケースがある。
家庭内のデリケートな問題でもあるため、表面化しづらく、子ども自身も自分がヤングケアラーだということに気づいていないケースも多いという。これらのことから、適切な支援に結びついていないのが課題。
調査は、市町村の要保護児童対策地域協議会における共同管理台帳にヤングケアラーとして記載されている67件。県内の教職員、福祉・医療の在宅サービス関係者、民生委員児童委員、子ども食堂などの関係者に行った先行調査、公私立学校の小学5年生から高校3年生までの全児童・生徒約8万人に行った全体調査で集約した。
全体調査の中で、世話をしている家族が「いる」と答えたのは4%。多くは、兄弟姉妹で62・9%。それによりやりたいことが出来ていないと答えた人(複数回答)は1・3%だった。「特にない」と答えた人は58・3%と半数以上。とくに兄弟姉妹の世話している場合は、キツさを感じていない場合が多い。
一方で、「学校に行きたくてもいけない」と答えた人が24人、「進路変更を考えざるを得ない」と答えた人が40人など、深刻な影響を受けている児童・生徒もいることが分かる。
世話をしている家族がいると答えた人の中で、一緒に世話をしている人がおらず、自分だけで世話している人が14%。中には、就学前から世話を始めたと答えている人もいる。
「学校やおとなに助けてほしいことや手伝ってほしいことは」との問いには、「特にない」が56・1%と多いが、「自由に使える時間がほしい」「勉強のサポートをしてほしい」「進路や就職など、将来のことについて相談にのってほしい」「自分の今の状況について話を聞いてほしい」などがあり、相談できる場所や人を求めている人が多い。
ヤングケアラーについて「聞いたことがない」と答えたのは70・2%で、認知度の低さがうかがえる。
大分県では、全体調査結果から、世話をしていることで困りごとを抱えている児童・生徒は約千人いると推計。表面化しにくい特性から、周囲の大人が気づきにくい。ヤングケアラーの中には、学校を欠席、遅刻、早退、睡眠不足などの特徴がみられることもあり、周囲の大人が気づけるような取り組みが必要で、全体調査でヤングケアラーのことを知った人も多かったことから、考えるきっかけになったとしていた。