全国に約3万人の会員を要し全国に171団体が所属する「公益社団法人日本詩吟学院」認可の団体で、別府市を中心に県内、宮崎県で約300人の会員がいる「岳星会」は、全国優秀吟者吟道大会漢詩の部で1位と努力賞、和歌の部で2位、全国俳諧歌詩吟大会で3位に輝くというこれまでにない快挙を手にした。
全国10地区から地区吟詠大会の予選で選ばれた優秀な吟者が一堂し吟詠を発表する全国優秀吟者吟道大会(9月19日、東京都台東区立浅草公会堂)の漢詩の部(45人出場)で1位「木村岳風賞」を受賞した上野桜岳(佳香)さん(40)=吟歴34年、昌瑩わかば支部=は「いつもなら会場で発表があるのですが、今回はコロナ対応ということで1カ月後ぐらいに結果の連絡がありました。1位と連絡を受けたときは嬉しかった。これまで漢詩、和歌に出場しましたが、自分らしい吟ができなかったのですが、今回は練習の成果が発揮できました。会場では程よい緊張感の中で出ることができました。今後は深みのある吟ができるようになりたい。そしてゆくゆくは子どもたちに教えられるような立場を目指していきたい」。
同部で「努力賞」を受賞した宮本鶴風(七菜子)さん(26)=吟歴22年、鶴新支部=は「賞に入れたことは嬉しい。会場ではがちがちに緊張しました。思った以上に早くなったり、いつもの練習より声が高く出てしまいました。いつも通りではなかった。今後は、場数を踏んで緊張せずいつどこで吟じても同じように声が出せるのと、もう少し吟の詠みを練れるようになれば艶のある声になりたいと思います」。
和歌の部(41人出場)で2位に受賞した伊藤杏岳(亞住)さん(38)=吟歴34年、昌瑩支部=は「自分の吟にこのような評価をいただけたことをとても嬉しく思いました。今、住んでいる東京で、この状況下では、なかなか練習の場がありませんし、なかなか帰省もできません。そんな中、オンラインでの指導をしてくれた久保先生や別府から台風の中駆けつけてくれた両親、そして一緒に出場した仲間たちに感謝の気持ちで一杯になりました。これを励みに、今回足りなかった点を見直し、また頑張ろうと思いました。
今大会は、普段の練習どおり、可もなく不可もなく吟じ終われたというのが率直な感想です。一発勝負のコンクールで、普段通りの吟ができることはなかなかないので、良かったと思います。今後は詩情表現を深め、聞いた人の涙を誘うような心に響く吟を吟じられるよう、精進していきたいと思います」とそれぞれ話した。
全国俳諧歌詩吟大会(7月2日、諏訪市文化センター)の俳諧歌十人合吟で3位を受賞したリーダーの橋本岳好(香代子)さん=師範会=は「5年前も出場し3位だったので、今年は1つでも上にいきたいと思っていましたが、審査が厳しかったので、3位でも嬉しかった。短い期間だったが、10人で気持ちが1つになってきて、当日を迎えました。10人全員が『頑張った』と感じました。皆さんをまとめるのは難しかった」とそれぞれ述べた。
岳星会の大野岳陽会長は「全国でこれだけの成績を修めることは大変な快挙。会としても来年、創立70周年の記念大会を行うので励みになります。実力のある人たちなので、先が楽しみ。若い人が立派な成績を修めたことは、他の若い人たちの励みにもなるし、年配の方も力になる。来年も岳星会の予選、九州大会を突破して、全国大会に出場してほしい」と話した。
十人合吟のメンバーは以下のとおり。(名前は雅号)
橋本岳好、田邉岳苑、江藤岳藍、太田岳蕉、首藤踊岳、上浦潤岳、後藤志岳、大塚笙風、衞藤萠風、三上翠風