別府市消防本部は9月9日の「救急の日」を前に8日午前9時、市内の医師1人、看護師2人を「一日救急隊長」に委嘱し、救急現場を体験した。今年で34回目。
救急医療および救急業務に対する市民の理解を深め、かつ救急医療関係者の意識の高揚を図ることが目的。
3人に委嘱状を手渡した浜崎仁孝消防長は「新型コロナウイルス感染症は5類へと下がりましたが、本市における救急出動件数は昨年に引き続き、今年も過去最多の件数となる見込みであり、救急業務の重要性ならびに、市民の救急他院に対する信頼はますます高くなっております。また救急業務の高度化に伴い、医療機関との連携もさらに充実していかなければならなくなっております。市民の皆さまの理解を得ることはもとより、医療機関と消防機関の相互の連帯感がますます深まるものと確信しています」とあいさつ。
新別府病院の前尾浩平医師(28)は本署第1小隊救急隊、黒木記念病院の今永美咲看護師(22)は亀川小隊救急隊、内田病院の江上綾華看護師(22)は浜町小隊救急隊にそれぞれ「隊長」として配属された。
通信指令室の説明を受けた3人は、本署駐車場で救急車の装備や資器材などの説明を受けようとしたとき、市民から助けを求める「救急入電中」のアナウンス2件が流れた。前尾、今永両隊長らは感染防止衣を着用して、救急車に乗り込み現場に向かった。待機する江上隊長は、救急隊員から救急車の装備や資器材などの説明を受けた。その後、江上隊長は浜町出張所に移動したが、すぐに救急出動した。
現場から戻った前尾隊長は「いつも患者さんを病院で受ける側ですが、今回は病院に搬送する側といういつもと違う目線で見ることができました。実際に救急車に乗ってみて、救急救命士さんらの病院を探す大変さが分かりました。患者によって専門性が高かったりすると、探す病院の大変さがよりグレードアップすることが分かり良かったと思います。患者さんを断らずに受け入れることが病院側としても、患者さんをより早く救命することにつながると学びました。今後は専門性のある科に進むにつれ、患者さんを引き受けたときにより良い治療を行っていけるように勉強していきます」と話した。
救急現場から本署に戻ってきた前尾隊長と救急隊員3人は出動の内容の振り返りとして▽現着するためのルート選択▽指令内容からの活動方針▽傷病者に接触してから車内収容してからの活動▽状態を見て適切な病院に搬送する―などを再確認した。