別府西中学校で親子人権講座開催

倉堀さんが体験談を語り、
トランペット演奏を聴かせた

 別府市立別府西中学校(杉原勉校長)は1日午後1時半、体育館で令和5年度親子人権講座を開催。全校生徒約420人や保護者が参加した。
 同校では毎年、生徒と保護者の人権意識の向上を図ることを目的に、年間を通して取り組みを行っている。今回は、性的マイノリティーに関する理解を深めてもらおうと、大分中学・高等学校の音楽非常勤講師でクラリネット奏者の倉堀翔さんが「嘘をつかずに生きるとは~クラリネットとともに~」と題して講演した。
 杉原校長が「以前、研修でお話を聴いた時、もっと若い時に聴けていればと思った。生徒の皆さんや保護者、教員に聴いてほしいと思い、講師にお願いしました」とあいさつ。
 倉堀さんは「私は、生まれた時は男の子でしたが、心は女の子のトランスジェンダーでした。世の中には沢山の人がいるのに、何故、性別は男女の2種類しかないのか。性転換をした友人に、『僕は覚悟を決めて、命をかけて手術をした。僕と君は違う』と言われたことがあります。女性の体が欲しいと思ったこともありましたが、今の自分の人生が充実していて輝いている自信があるので、今は女性の体が欲しいとは思っていない」とし、「おかま」と言われて傷つき、悩みつづけた思いを語った。しかし、中学生の時にクラリネットに出会ったことで、辛いことも乗り越えてきた。
 子どもの頃は、ランドセルが赤と黒しかなく、男の子は黒と決められていたことや制服はスカートをはきたいと思っても認められず、学ランだったこと、みんなの前で着替えをするのが恥ずかしかったこと、相談できる相手がいなかったことなど、辛かったことをあげた。
 「ジェンダーレスな時代になって、制服はブレザーになり、ズボンをはいている女子もいる。しかし、男子がスカートをはきたいといった場合にどうするか。『そんな奴はおらんやろ』と言った人がいますが、それは差別であり、ジェンダーの子を追い詰めることになる。新しい取り組みの第一歩となるには、まわりの理解が必要」と訴えた。
 最後に「夢を持ってほしい。夢や目標は、自分に大きな勇気を与えてくれる。嫌なことは沢山ありますが、乗り越えられた時、自分しか見ることが出来ない素晴らしい景色を沢山見ることが出来ます。素晴らしい未来を心から応援しています」と話し、クラリネットで「川の流れのように」を演奏した。
 松井日茉梨生徒会長(14)が「講話を通して、ありのままでは生きられない人がいるのかもしれないと思いました。理解し、寄り添える人になること、応援できる環境が大事だと思いました」と感想を述べた。