別府市の庁内連携会議が研修

少人数のグループで
インクルーシブ防災について研修をした

 別府市は、災害時に誰ひとりの命も亡くさないための「災害対応アクションプラン」作成のための庁内連携会議の1回目を1日午後2時、市上下水道局会議室で開催した。教育や子育て、防災、福祉分野など関係する各課から26人が出席した。
 別府市は、これまで、障がいのある人もない人も、高齢者も幼児も誰ひとり取り残さない「インクルーシブ防災」に取り組んでいる。
 講師に鍵屋一・跡見学園女子大学教授が「災害時に『も』誰一人取り残さない社会を目指して」と題して、講義とワークショップを行った。2019年の台風19号で被災した家族の新聞記事を読み、「大災害時に要配慮者が安全に避難するための準備と行動とは何か」をテーマに対応を話し合った。被災家族は高齢の両親、母親、自閉症の長男、手足に障がいのある長女の5人で家にいた。避難所に行くことが難しい中、長女と祖母は町役場に行ったが、祖父、母、長男は自宅に残ったところ、土砂が流れ込んできた。幸い、亡くなった人はいなかったが、障がいのある人の避難の難しさを改めて感じた出来事となった。
 7つの班に分かれて、記事を読んで感じたことを書き出し、他のテーブルに行って意見を出し合い、さらに具体的なアイデアを出し、役に立つと感じたものにシールを貼るなどして、様々な考えを共有した。
 鍵屋教授は「要支援者に声をかけるだけでも良いと考えると、楽になる。『私は逃げるから、あたなも逃げて』というだけで、相手も逃げて助かった例がある」とし、訓練をやって課題を見つけることの重要性を話した。また、「防災は、当事者参加型のボトムアップ防災が重要。先進事例を学び、ひな型を考えることも良いが、実際は当事者が参加して、訓練をすること。個別避難計画は、良い地域を作る手段にしてほしい。防災は、みんなの困りごと。話し合い、顔を繋いでやっていくこと。災害でも平時でも支え合う、助け合う社会を作ること」と話した。
 20日には、立木茂雄同志社大学教授を講師に、「連携会議で具体的に進めていく内容の理解」をテーマに行う予定。